高潔な氷晶と病みし双色
□高潔な氷晶と病みし双色
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その勢いで鎖夜は晴矢の胸に飛び込みそうになるが、そこはなんとか踏ん張った。
しかし先程より鎖夜と晴矢の距離が縮まった。
互いの息が掛かる距離。
自然と視線が絡まり、顔に熱が集まる。
『ちっ、近い...。』
晴矢から逃れようと身を捩るが、無駄だった。
晴矢は鎖夜が口では強気だがいざ行動になると弱いタイプだと初めて知った(つまり虚勢を張る女。或いは小心者)。
いや、初めて知るのは初対面だから当たり前か。
そんな様子を内心かわいいな、なんて晴矢は考えていた。
最初は風介に対しての対抗心と、他人にあまり興味がない風介に興味を持たせたって奴に対する興味本位(好奇心ともいう)で見てみたいと思った。
それだけだったのに、鎖夜を見たとたん、風介が惚れる理由がなんとなく分かった。
他の女と違って媚びを売らない所。
そこにはかなりの好感が持てた。
そしてどこか不安気に揺れた瞳が昔の風介に似ていた。
きっと昔の自分に似た彼女が放って置けないんだ。
晴矢は鎖夜の瑠璃色の瞳から視点を掴んだ左手首に移した。
掴んだ腕が細くて、守ってやりたくなるような。
不意に笑顔が見てみたいと思った。
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