高潔な氷晶と病みし双色
□高潔な氷晶と病みし双色
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「この間、星哉が戻って来るって言う噂聞いたんだけど...それってホント?」
一瞬鎖夜はヒロトがなんと言ったか理解出来なかった。
『どこからそんな情報を...?』
「俺知り合いに探偵がいるからさ。」
『じゃあ私の事はその探偵から聞いたのね。嘘吐き。』
瑠璃色の瞳が不信を映していた。
同時に鎖夜は安心した。
少なくとも直接的に自分の過去を知っている訳ではないから。
「違うよ、鎖夜ちゃん。」
ヒロトはわかっていた。
鎖夜が事実を信じたくないだけだと。
見知った人間がいるのが恐ろしいのだと。
ぶり返す記憶が嫌なのだろう。
事実彼女にとって良くない学校生活だった。
それを思い出させてしまった事には反省するが、星哉の情報が入ったからには仕方がない。
これも彼女の為なんだ。
ヒロトは自分にキツく言い聞かせた。
「鎖夜ちゃん。全部ホントだ。信じてよ。」
『うるさい、うるさい!信じるって何よ!?裏切られてもいいって事!?』
鎖夜は何も聞こえないというように首を振る。
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