短い文章
□遺言代行人
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私は何故か幼い...って今でも十分幼いかな?
物心ついたときには幽霊が見えていた。
幼い昔の私には幽霊と人間の区別がつかない訳で、誰もいない所に話し掛けよく気持ち悪がられた。
だから私は両親に捨てられ、施設に入れられた。
その後私は老夫婦に引き取られた。
今私は自分のこの力を隠しているから気持ち悪がられるとかそんな事はない。
「聞こえてんだろ!!」
珊瑚色の彼が五月蠅かった。
しつこかった。
私はチラッと珊瑚色の彼を見て、溜め息を吐いた。
そして小さくついて来てと呟いた。
葬式の会場から出て、一人なのを確認した。
『自分の葬式を見るなんて体験はなかなかできないよ。』
私はそう言って珊瑚色の彼を見た。
珊瑚色の彼は何とも言えない複雑そうな顔をした。
『初めまして、アツヤ君。この度はご愁傷様でした。』
瞳を閉じ、珊瑚色の彼...アツヤ君に合掌する。
幼いながらにして皮肉を言う子供はなんとも不思議だ。
客観的に見れば私はもっと不思議な子だ。
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