短い文章

□遺言代行人
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独り言言っているんだから。



「なぁ、お前はなんで俺が見えるんだ?」



アツヤ君は不思議そうな顔で私を見詰める。



『知らない、物心ついた頃には見えていたし。』



私だって知りたいよ。



ちょっとキツい言葉で私は言葉を濁した。



ワザと人を遠ざけるように言ったのにアツヤ君は私に更に言葉を掛けた。



他に話し相手いないもんね。



「頼みがあるんだ。」



アツヤ君は真剣な表情で私を見つめていた。



『頼み...?』



なんで私に頼み事をするんだと思いつつ、頼み事出来る人間なんて自分しかいないじゃないかと思い直す。



「兄貴に伝えてくれ。
兄貴は一人じゃない、俺がいつも傍にいるって...。」



『私がそんな言葉を言えば彼は更に不安定になるかもしれない。』



それを分かっているの?と言葉を続けた。



「そうなるって確証はあるのかよ。」



なんてプラス思考なんだ...。



呆れてしまう。



慎重という言葉を知らないのか...いや、この歳じゃ知らないでも通るか...。







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