短い文章

□君が瞳に映したのは、
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目前に広がる光景に彼女は驚いた。



バサリと音を立てて落ちる花。



「う...そ....、」



ベッドの上の恋人は血を流しながら死んでいた。



机の上に手紙があった。



一つは遺書で、もう一つは私への手紙だった。



中身を見れば、



――――――

最初で最後の恋人へ

別れを君に言えない事に謝罪したい。

僕は君を置いて逝くよ。

日に日に窶れていく君を見るのは辛いから。

ホントは君だってこんな僕の傍にはいたくないだろ?

君の中の僕は洗濯縮みしていく服みたいに小さくなっていっている事くらい分かってる。

新しい服、とっても似合ってるよ。

僕の所為で君の人生をダメにはしたくないんだ。

今ならまだ間に合うでしょ。

そう言えば今日は君の誕生日だったね、おめでとう。

プレゼントは僕からの解放...これで君は自由だ。

大丈夫、僕の事は忘れて、新しい恋人と幸せになってね。

ずっと大好きだったよ

――――――



「ばっかじゃないの...」



新しい服とか、私の浮気に気付いていながらずっと大好きだったとか馬鹿でしょ。



私に罪悪感を胸に生かすとか、



「最低だよ、」











君が瞳に映したのは、



(悲劇か、)


(喜劇か。)










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