短い文章
□君に懺悔、腫瘍に感謝
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君の声が聞こえた気がして振り返ってみた。
しかし君の姿はなかった。
当たり前だ。
彼女は死んだのだから、
なんだ、幻聴か。
また僕は歩きだす。
だけど君の声が僕を呼ぶ。
私はここにいる...どうして気づいてくれないの?
また僕は足を止め、後ろを振り返った。
「あ、はっ...」
自然と笑いが漏れた。
僕は狂ってしまったんだ。
或いは病気なのかもしれない。
だって君の姿が見えるのだから。
君はもう存在しない筈なのに。
「ごめんね、」
僕の脳には腫瘍があった。
全ては腫瘍が魅せた幻影。
悪性の腫瘍のハズなのに、僕には優しい腫瘍。
僕に謝るチャンスをくれたのだから。
君に懺悔、腫瘍に感謝
(ごめんね、)
(ありがとう...)
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