短い文章
□愛してあげるから愉しませて
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私は...僕は道化師
唯一王への無礼も許される。
だから、貴方への無礼だって許されるの。
だから僕が貴方の頬を打とうと、
僕が貴方に目隠ししようと、
僕が貴方に足枷填めようと、
僕が貴方に猿轡を噛ませても、
僕が貴方を監禁しようと、
関係ないんだよ。
全ては許される。
「あは、ねぇ、楽しい?」
彼は答えない。
「ああ、そうか。猿轡の所為で話せないよね、ごめんね?」
猿轡を解いてやれば彼の口からは多くの二酸化炭素が排出される。
荒い彼の呼吸が、肩で息をする姿が、酸素を求め開いている口が、目隠しの下で睨んでいるだろうその黒の双眸を想像するだけで、
性的欲求を掻き立てる。
「お前はっ、」
楽しいのかと続けられた言葉に僕の口角が上がるのを感じた。
「愉しいよ?愉しくて仕方がないんだ。」
君も、愉しいでしょ?耳元で囁き、耳朶を唇で挟む。
「っ、もう、いいだろっ...!」
小さく吐かれた息と共に漏れた言葉は苦しそうだった。
「だめ、まだ僕は満足していない。...ね、もっと僕を愉しませてよ... クン?」
今宵もまた碧月の下に咲き乱れる。
愛してあげるから愉しませて
(この愛もまた無礼なのだよ。)
(愛も無礼も許される。)
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