短い文章
□責任を持てない言葉を言いたくはないが、それ以外言葉は思い付かなかった
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鈍い音と同時に二人分の呻き声。
視界いっぱいに広がるのはデモーニオ。
目の見えない彼にはどれほど顔が近いか分らないだろう。
呼吸が頬に当たる。
不謹慎にも見えてなくてよかったと思った。
だって今、顔すごく赤いだろうから。
「ご、ごめん、有人っ!!」
慌てて起き上がるデモーニオ。
俺もまた体を起こした。
「いや、怪我はないか?」
「大丈夫」
「すまない」
自然と俺の口から出たのは謝罪の言葉で。
「どうして有人が謝るの?」
デモーニオが不思議そうに言うものだから、初体面の時とあまりにも印象が違い過ぎて、切なくなった。
理由を言う事さえ躊躇した。
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