短い文章
□キスで潤おして
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彼女の抵抗はただの照れ隠しという事は2年という付き合いの中で知った。
最初はただ嫌がっているのかと思った。
逃がさないように腕に力を加える。
「こーやってお前を抱きしめられるからな」
明王は彼女の抵抗など気にせずに言葉を続けた。
「ホントはこうされたかったんだろ?」
余裕そうに笑みを浮かべた。
「明王...、」
彼女は首だけ回し、後ろにいる明王を見た。
互いの白い息が交わる距離に心臓が高鳴る。
ゆっくりと唇を寄せれば顔を背けられた。
なんとなく、むかつく。
「今、唇乾燥してるからやだ」
彼女の表情は覗えない。
いちいちくだらない事気にする彼女が可愛くて、愛おしいと思った。
「キスで潤おしてやる」
彼女は俯き、小さく呟いた。
「続きは帰ってから...、」
今度もちゃんと聞こえた。
キスで潤おして
(Kiss me!)
(この唇で愛を受け止めます。)
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