駆け抜けろ

□第2話
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ND大会から3日後。

様々な手続きを終えた夕希は、とうとう学校へ行くことになった。

特別に許可を得て男子征服に身を包む。

どうしてもスカートは嫌なのだ。

少し早めに登校して職員室に行くため、夕希はリョーマが目を覚ます前に家を出た。






朝練の始まる30分前。

3年のレギュラー人が門で何やら話している。

「昨日、竜崎先生から連絡があって、放課後の部活はアップをしたら少し待っていてほしいそうだ」

大石からの報告に菊丸が首を傾げた。

「なんで?」

「何でも、この前やっていた女子のND大会に関係があるみたいなんだ」

「ND大会って?」

「3日前に初めて開催された、日本テニス協会主催の大会だ。中学と高校、そしてプロの部門で
それぞれ一人ずつ公式戦で男子の部に出場する許可が出る資格が与えられるそうだ」

さすがはデータマン乾。

眼鏡を掛け直しながら言う。

「じゃあ、そのND資格を取った子がこの学校にいるってこと?」

「そこまでは分からないが…」

河村の質問に答えあぐねる。

と、不二が口を開いた。

「僕、その大会見てきたよ」

「…えぇ!?」

にこにこと笑みを常に浮かべる彼を一斉に振り返った。

「姉さんが『面白いらしいから』って言ってたから。たしかに楽しかったよ」

しかし、でも、と付け加える。

「優勝した人は、見覚えがなかったなぁ…」

誰かに似ていたような気もするのだが。

うーんと首をひねる。

「とにかく、今は早く朝練に行こう。もうすぐ手塚も来る」

1、2年もはすでに揃っているだろうから良いだろうが、少しでも遅れたら部長が怖い。

彼らは急いでコートの方へ向かった。






まず担任と挨拶をして、応接室で待つようにと告げられる。

ND資格に関することもあるので、無理はないだろうが。

外から威勢の良い声が聞こえて窓を見る。
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