短編・中編book
□魔女と笛吹男と二人の子供と
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翌日彼は子供達のいた国に行きました。
彼が立ち止まった場所は人気の全くない国の端でした。
そして彼は笛を出し、吹きはじめました。
その音は風に乗り遠くまで届きました。
しばらくすると子供が一人彼のもとへやってきました。
しばらくするとまた一人、二人。
どんどん子供が集まり、大人の姿もちらほら見えました。
彼は集まった彼らを見回し、笛を吹いたまま歩き出しました。
あの日と同じように、しかし今度は彼らを助けるために。
彼は昔大きな罪を犯しました。
彼が吹く笛の音は不思議な力を持っていて、その力で彼はある街の危機を救いました。
しかしその街は彼に渡すはずの褒美を渡しませんでした。
そのことに怒った彼は笛を吹き、その街の子供達を全員連れ去ってしまったのです。
魔女はその全てを見ていました。
そして魔女は彼に罰を与えました。
一つは魔女の許可なく笛を吹いてはいけないこと。
もう一つは魔女とともに生き、多くの人々を助けることでした。
そして今、彼は昔とよく似た状況で、しかし彼らを助けるために笛を吹いていました。
その日、とある国から十数名の人間が消えました。
気が付く者は、まだいない。