短編・中編book
□水の中の少女
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ふと彼女は目覚めた。
そこは水の中のように見えた。
彼女はそこに自分の膝を抱く形でたゆたっていた。
辺りは上からさし込む光で適度に明るかった。
なぜ彼女はここにいるのか?
残念なことにそれは彼女にも分からなかった。
ここはどこなのか、なぜ自分はここにいるのか、自分は誰なのか、これからどうすればいいのか。
それら一切が彼女には分からなかった。
しかし彼女は何も心配していなかった。
どこかで大丈夫だと確信していたからだろう。
まあ何が大丈夫なのかは彼女自自身も分かってなどいないのだが。
そして彼女は再び眠りにつき始める。
本当の目覚めがくるまで。
彼女に与えられた役目を果たす日がくるまで・・・。
今はただ夢を見ている。
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