その他

□雪降る夜空の下で
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「今年は雪、降らないねー」


窓から外を見つめ、遊子が眉を寄せながら言えば、夏梨が面倒くさそうに溜め息をついた。


「つか、今年も。だろ?クリスマスだからって雪が降るって決まってるワケじゃあるまいし」


夏梨の言い分もごもっともだが、納得がいかないのか遊子は顔を歪め、夏梨へ振り返る。


「でもっ、クリスマスっていえばやっぱり雪じゃん!ねっ!お兄ちゃん!!」

「え、あ・・・ああ」


いきなり話を振られ、曖昧に答える一護。
だが、やはりクリスマスだからといって、雪が絶対に降るとは限らない。
それに、降られたら降られたで寒いから、降らなかった方がありがたいと思ってしまう。

そんな事、今の遊子に言ってしまえば余計に不機嫌になり晩飯を抜かれるだろうから言わないが。
夏梨もそれを悟ったのだろうが、分かっていながらワザと分からないフリをし、二人に対して溜め息をついた。


「全く、遊子も一兄もロマンチストな頭だねぇ」

「もぉーっ、夏梨ちゃんってばぁ・・・」


二人の言い合いを少しの間見つめ、一護は目の前のテレビへ目を移す。
どこの番組のドラマもアニメも、皆クリスマスが絡み、雪が綺麗に降り積もっている。
全く、どこもクリスマス気取りで呑気なものだ。

こっちはいつ虚や破面が虚圏から断界で現世(こっち)へ来てもいいように待機しているというのに。
一護も夏梨同様、溜め息をつこうとした、その時だ。


「うっっっわぁ!!!夏梨ちゃん!!見て見てっ!」


いきなり遊子が叫び、はしゃぎだした。
窓を見ながら飛び跳ねる遊子に、夏梨は後頭部を掻き、座っていた椅子から立ち上がる。


「んだよ、遊子〜」

「ほらっ雪だよ雪!!お兄ちゃんも見てみて!!」


遊子の発言に、夏梨は首を傾げ遊子に歩み寄る。


「はぁ?何言ってんのよ、さっきまで降ってなかった雪が降ってる、わけ・・・・」


突如、夏梨の言葉が途切れた。
どうしたのか、と一護が二人の方へ振り向くと、丁度夏梨と眼があった。
夏梨も何故だか興奮気味だ。


「一兄っ来なよ!!雪っ雪降ってる!!」

「は?」


首を傾げる一護に、二人は早くと急かすように一護を手招きする。
一護はテレビの電源を消すと、ソファから立ち上がり二人の方へ歩み寄った。
そして窓の外を見てみると、確かに少量ではあるが雪が降っていた。


「・・・・マジかよ」

「すっごいね!やっぱクリスマスになると雪は降るんだよ!」

「偶然だろ?つかアンタ、夕飯の支度はしなくていいの?」


夏梨の言葉に、遊子は目を見開き、急いでエプロンを身につけた。


「わっすれてた!あ、夏梨ちゃんも手伝ってね?」

「えー・・・・」


批判の声を上げる夏梨の腕を掴み、遊子は引き摺るような形で夏梨をキッチンへ連れ込む。


「ほらっ早く!お兄ちゃんも手伝っ・・・・あれ?」


一護にも手伝ってもらおうと、振り返った遊子だが、そこには一護の姿はなく。


「・・・お兄ちゃん?」

「一兄のやつ・・・逃げたね」


悔しそうに眉を寄せる夏梨だが、遊子は仕方ないと息をつき、夏梨をキッチンへ連れ込んだ。


「じゃ、あたしと夏梨ちゃんとで作ろっ。お父さんも、もうすぐ帰ってくるし」

「一兄のやつ・・・後で覚えてろよっ」


そうして二人は夕飯を作り出した。
一方、一護はというと。






「何考えてんだよっあの野郎・・・っ!!」


自室で代行証を手に、顔を歪めていた。
一護は代行証を自身の胸に当て、死神になると次はコンの額にベシッと代行証をぶつけた。


「おプッ!!」


ライオンのぬいぐるみの口内から、コンの本体が転げ落ちる。
それを抜け殻状態の自分の口内に落としながら、一護はコンに話し掛けた。


「ちょっとの間だけ頼むぞコン!変な事すんじゃねーぞっ」


それだけを言い残し、一護は窓から急いで外へ飛び出した。
そんな一護の背中を見つめながら、コンは首を傾げた。


「な、なんだアイツ・・・珍しく焦って・・・・」





それから・・・・。
一護は自宅の屋根に向かって瞬歩で移動すると、辺りを見渡した。
だが、誰も居ない。
しかし、霊力は感じられる。
誰のものか知っている一護は、呆れ気味に大きな声を上げる。


「出て来いよ・・・・もうこの雪は自然のモンじゃねぇって判ってんだ」


しかしやはり、出てくる気配はない。
一護の眉間に、元々ある皺が一層増える。


「聞いてんのかっ!?冬獅郎っ!!」

「・・・・五月蠅い」


名を叫んだ事によって、やっと探していた人物が出てきた。
溜め息をつく銀髪の少年の態度に、一護の口元が引きつる。


「てんめぇ・・・・隠れる必要ねぇだろっ!?つか、何だよその態度」

「お前等の為に俺の斬魄刀(氷輪丸)で降らせてやったんだろ?雪。感謝しろ」

「するかっ!!大体斬魄刀をそんな事の為に使ってんじゃねぇよ!それに夏梨にバレちまったらどうすんだよ!」

「いちいち文句が多いな。煩わしい」


眉を寄せる冬獅郎に、一護の中で苛々感が高くなる。


「んだとー・・・・まさかとは思うがなぁっ、こんな事の為に尸魂界から来た訳じゃねーよな?」

「そうだが?文句あるか?」

「大アリだっつーの!!こんなつまらねぇ事の為にお前は」

「つまらねぇ事じゃねーよ」


一護の言葉を遮り、冬獅郎は腕を組んだ。
一護には冬獅郎の意図が読めず、頭上に疑問符を浮かべる。
そんな一護に冬獅郎は瞬歩で近づいた。


「ぅおおっ!?ッテメ・・・瞬歩で近付くなっていつも言って・・・・、っ」


又も、一護の言葉は遮られた。
しかし今のは先程の言葉によってではなく、冬獅郎の唇によって遮られた。

死覇装の襟元を掴まれ、思い切り引き寄せられ、無理矢理腰を曲げさせられる。
冬獅郎からの口づけは触れるだけで、直ぐに離れていったが一護の顔は真っ赤に染め上がる。


「な、てめっいきなり・・・・」

「お前と二人で現世(こっち)で見てみたかったんだよ。夜の雪」

「え?」


キョトンとする一護に、冬獅郎は息をつき、その場に座り込んだ。
その隣に座れと、一護に目で訴えれば一護も冬獅郎の隣に座り込んだ。


「尸魂界ではな・・・・雪は滅多に降らねぇんだ。だから黒崎と先に二人で雪を見てみたかった。本当の理由はこれだ」

「そ、そんな事の為に尸魂界から?」

「ああ。悪いか?」


一護に振り返り、問えば一護は顔を赤くしたまま膝に顔を埋め込み、小さく呟いた。


「・・・・別に」


少し、いやかなり嬉しいと思ったが、それを言えば冬獅郎に絶対に、からかわれるであろうから、言わないでおく。
そんな一護の様子を可愛いと思い、冬獅郎は小さく噴き出すと、雪が降り続ける夜空を見上げる。


「なぁ、黒崎。知ってるか?」

「なんだよ」


一護はまだ顔を上げない。
冬獅郎はそんなの、お構いなしに話を続ける。


「尸魂界ではな、クリスマスの日の夜に雪を見た恋人同士は絶対に幸せになれるんだと」

「へ、ぇ・・・・」

「俺はお前を命を賭けてでも・・・・一生幸せにする」

「おぉ・・・・って、はい?!」


冬獅郎の言葉に驚き、一護の伏せていた顔が勢い良く上がる。
その瞬間、待ってましたとばかりに再び一護に口づける冬獅郎。
今度は触れるだけのものではなく、深く甘いキスを。


「っ、・・・んんっ!」


次第に一護の眉が寄せられ、苦しそうな声が上がる。
無意識なのか、震える手で冬獅郎の死覇装の襟元を掴み、苦しいと訴える。

冬獅郎は名残惜しげに唇を離し、息を整える一護をじっと見つめた。
やっと息が整い始めたところで、一護は赤面し冬獅郎をチラチラと見ながら口を開く。


「な、なぁ・・・冬獅郎・・・・今のって・・・ぷ、プロッ・・・・〜〜〜っ!!」


言うのが余程恥ずかしいのか、一護はまた膝を抱え込むと、そこに顔を埋(うず)めてしまった。
冬獅郎は小さく笑うと、一護を抱き寄せ耳元にそっと囁いた。


「今の言葉は・・・好きなように受け取ればいい。“一護”」

「〜〜〜!!・・・耳元で喋んな」

「はいはい」


笑いながら可愛いと呟き、一護の背を撫でる。
一護が小さな声で、笑うな。そして可愛くない。と言ったような気がしたが、聞こえなかったフリをしておく。


「一護・・・・」


抱き寄せていた身体を少し離れさせ、一護の顎を捉え上を向かせる。
その顔は夜の暗さでも分かるくらいに火照っていて。
その顔に、ゆっくりと近付き、ほんの一瞬だけ唇を合わす。

そしてまた抱き締めて、低く囁いた。


「メリークリスマス」

「・・・・・・・馬鹿」


悪態をつく一護に、冬獅郎はフッ、と鼻で小さく笑ったのだった。




























「一護、クリスマスプレゼントはお前がi」

「断る」

「じゃあ俺がクリスマスプレゼントd」

「お前もう尸魂界に帰れ」


end?





捏造すんません○| ̄|_!!

・・・・FAIRY TAILをうぷりたかったのに、何故かBLEACHをうぷしてしまった・・・・(T▽T)
しかも、冬獅郎のキャラ崩れが酷いwww
いろんな意味ですみませんでしたm(_ _)m

 

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