02/14の日記
20:49
バレンタイン★Kiss
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2月14日
今日も平和だと神崎はヨーグルッチをストローをくわえ無表情に飲みながら学校の廊下を歩いていた。
そんな時、あちこちに見られる光景にハッとする。
ああ、今日ってあの日か。
だからといって慌てるわけでもなく居たのだが。
チョコかぁ。
そういや二葉が昨日何か作ってたなぁ…
ガキなのによくやる、と思っていたが。
「つーか、甘いにおいだけじゃなくて雰囲気までそうなるんだな。」
良く見ればその場だけ空気が別次元の空間に見えるくらいイチャイチャムードだ。
「……」
あっちもこっちも、とはいやはや。
アテラレソウダ
つーか、やっぱり欲しがるものなのかあれって?
ふと浮かんだ存在に神崎は足を止める。
朝は何も言わなかったし今も言ってこない。
べ、別に言ってこなくてもいいわけだが。
「……やべぇ、意識しちまうと気になるわ…」
「何が?」
「うわっ…!?」
一人、微妙に照れてしまっていた神崎だったが突然に背後から声が聞こえてバッと振り向く。
そこにはにこりと笑う夏目が居た。
「いきなり声かけるなよな…心臓出るかと思ったぜ。」
「なになに、神崎くん。照れるような事が…ああ、今日ってバレンタインだよね。だからか。姫ちゃんに貰ったのかな?」
「な…、誰が貰うかよ…」「あ、貰ってないのか。ならあげた方かな?可愛いなぁ神崎くんは」
夏目が肩を組むように近づいてきて耳打ちされた言葉に神崎は更に赤くなり動揺した。
「まてまてまて…。俺が何であいつにあげなきゃならん」
「あれ?じゃあ何で赤くなってたのかな…。ていうかあげないの?姫ちゃん喜ぶと思うけど。」
神崎から離れた夏目はアッケラカンというから神崎は項垂れる。
「……そういう発想毛頭なかったつーか…チョコとか買ってねーし」
ぼそぼそぼやく神崎は、あいつが期待しているなら後が五月蝿そうだと頭を悩ませる。
「あーらら、姫ちゃん聞いたら嘆くよそれ。仕方ないなぁ神崎くんは…」
「知るか…そもそもそんなんじゃねーっ…」
「…はいはい、寝言はほっといて。じゃあさ、これあげるよ」
あしらうように言う夏目の様子に神崎は苛々してくる。
だが夏目が手持ちの袋の中を探り小さなピンクの箱と少し大きめの箱を目の前に出して言われた言葉にはぴたりと言葉に詰まる。
「今のご時世、友チョコってのもあってね。こっちはオレから神崎くんに。二葉ちゃんと一緒に食べてくれたら嬉しいかな。あと、こっちは神崎くんにプレゼント用として献上するからあげたい人にあげてね。」
「…あ、え?いや…」
「じゃあ、オレも用事あるからさ。また後で。」
夏目は神崎の手に二つ箱を渡し満足したように廊下を先に歩いて行った。
神崎は呆気に取られてしまっていたがハッとして意識を戻せば手に持たされた箱へと視線を向けた。
「…どうすんだ。これ…」
確か赤い方が俺で。
ピンクのが…
「……」
まったく夏目の奴、メンドクサイ事してくれる。
つーかいつまでもこうしてても仕方がないか。
渡すだけだし、な。
「……はぁ。まいった」
*****放課後*****
「で…?それをくれると…」
「ああ…成り行き上…」
「……」
神崎は帰り際、姫川に声を掛けて空いた教室に呼び出した。
直ぐ様、例の箱を差し出す。
「…期待はしてなかったが。そんなに気の回る奴、だったか?」
「いや…いらねぇなら良い」
「まぁ、待て。そうだな…それ開けてくれる?」
「開け…?ああ…別にいいけどよ……」
姫川の注文に神崎は訝しげに首を傾げながらも、丁寧に包まれた包装紙を開けていき、中から現れた明るいピンクと黒の色合いの箱を開けた。
開放すぐに甘い香りが漂う。
正しくチョコで、割りと美味そうでもあった。
「ほら、開けたぜ」
「ああ…。じゃあ一個取って食べさせろ」
「な…、に言ってやがる。」
「いいから…早くしろ」
誰かくるかもしれないぜ、と追加され口ごもりながらも神崎は丸く象られたチョコを一個指で取ると姫川の方に差し出す。
「ほら、食えよ。」
「ああ」
どうせなら、そっちのハートの形の方が一番だろ、と言われたが、神崎は煩いとはね除ける。
食べさすとか恥ずかしくてたまらないから悪態も吐く。
そんなことをブツブツと考えている間に、姫川の指への距離が近づいて。
開かれた形のよい唇にチョコが挟まれれば口内へと収まるのを確認してから神崎は指を引く。
微かに指に触れた唇の感触に指が熱く感じたけどそれは何とかはぐらかして。
「う、美味いか?」
「……、ああ。」
「そうか。なら良かった。」
口に入れたチョコを咀嚼しながら言う姫川に神崎はこれでよし、と終わった事に安堵した。
が。
「もう一個。今度は唇に挟むか。ハートのやつ」
「は!?」
サングラスを外しながら距離を詰めてくる姫川の言葉に神崎は驚くままに赤くなった。
「な、もういいだろ。あとは家で食えよ」
「…駄目だ。ほら口開けて」
「う…」
姫川が早くもハートの形をしたチョコを取り、神崎の唇に押し当ててくるから厭が応にも唇に挟む格好になり文句を封じられた。
神崎は目で抗議するが、それは上目遣いにも見えるから姫川には別の効果はあるにしろ抗議にはならなかったようで。
肩を掴まれ、迫る顔に神崎は目を細めた。
「ん…っは…」
重なる唇。
探るように動く姫川の舌が入ってくるかこないかの感覚でチョコを舐めて絡め抜かれ
姫川へと取られた。
このやろー…
絶対わざとだろ。
てくらい、掠め舐めてくる姫川の舌に時折、身体が震えるのを神崎は我慢した。
「ん…は…、っ…ここまでするかふつー…」
神崎は怒りを通り越して呆れる。
つーか、ゾクゾクくるような奪い方すんじゃねぇ…
と叫びそうになるが、姫川を喜ばすだけだと言葉を飲み込んだ。
「その箱、夏目が持ってただろ。」
「あ…?あれ…は」
「だから。中身に文句はないからどうせならてめぇから貰おうかなって思ってな。」
「…だからってなぁ…」
神崎は姫川の言葉にやっぱり呆れてしまう。
口元を押さえ照れ臭そうに悪態吐いた。
「やりすぎだろ…ばーか…っ」
つーか、バレンタインって好きだとか告白な意味な日じゃなかったっけ…。
と、ふと思ってしまったが、どこか浮かれた様子の姫川にまぁ、いいか、と渋々思う神崎がいた。
口の中に甘い味が微かに残っていたのもあるけど、どこか甘ったるい気持ちになったから。
姫川に言ってはやらないけど。
「うかれてんじゃねー…」
赤い顔で神崎は誤魔化しまじりに蹴りをお見舞いしたのはいつもの結果。
(*^o^*)御粗末
Happy バレンタイン★
姫川★神崎
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