02/14の日記

00:38
Happy Valentine's Day!★姫神★
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夕方から雪が降り始めた。
2月だというのに今年はまだまだ寒い。

「よく降るなー雪…」

暖かい部屋で、窓の外の景色を眺めながら神崎は呟く。

明日は積もるかね、とか考えてたら突然、部屋のドアが開けられた。


「はじめ、チョコ作るぞ!」


「は?」

第一声、頓珍漢な言葉が小さな相手から投げ掛けられて神崎はすっとんきょうな声を上げた。



小さな相手は二葉だった。

どうやら手作りにチョコを作るらしいが一人では駄目(当たり前だろ)だと親父達に言われたらしい。

だからといって手伝うと言われたが、それじゃあ意味がないと言う。
だから、オレに手伝えとの事らしいが。
何でオレはいいんだよ。
と、半ば脱力しつつ二葉に聞けば、「はじめだから」と即答された。

まぁ、色々物知りな奴らに聞けば、チョコなんざ固形物溶かして型に流し込めばいいだけだ、という事なんで簡単ならいいか、と面倒だなと言いながらも手伝う事にした。



ここまでが昨日の事だ。


つーか、今日は14日だったんだなぁ…。
二葉は親父や兄貴達に上げるとはりきって作っていた。
勿論、傍にはオレ以外もいたが、オレが大半命令気味にやらされていたんだが…。
お菓子用の型とかって色々あんだなぁ…。
ハートとか星とか…。

普段は関心なかったけどまぁ楽しかったし、二葉も楽しそうに作ってたし(?)出来上がってラッピングしながら嬉しそうだったからよしとするか。
その後、オレの分だと一つ照れ臭そうに差し出してきたし。
オレが作ったから微妙な気分だったけど、まぁ悪くない気分だったのは否めない。




「で、甘いにおいさせてんのか」

「あー…まぁ、家中昨日夜から甘いにおい漂ってたから、そんなにおいしてんならそうかもな…」



雪が朝まで降り積もり外は寒いからと、姫川の家に来たら、そんな質問をされ神崎は説明しながら自分の服をひっぱり匂ってみる。
すっかり慣れた甘いにおいに、そんなに身に染みてしまったかなと解らなくて首を傾げた。

いつもの定位置のソファーに座れば、ストックされているヨーグルッチのパックが姫川から差し出されて神崎は顔を綻ばせた。
礼を言えばそれを受け取り、嬉々としてストローを挿して飲んだ。


暫し沈黙。

ちらりと姫川を見ると神崎はストローを咥えたままに息を吐く。


「…つーかさ…」

「…ん?」

「チョコとか貰うのかよ…」

「…ああ、今日はバレンタインだな。まぁ貰うだろう。くれんなら…」

「…だよなぁ。髪下ろせば誰ですか状態だもんなてめぇは…」

「……?」


何かブツブツ言っている神崎に姫川は首を傾げたが、すぐに考えを巡らせてニヤリと笑う。


「そうだな、美味そうだし是非とも貰いたいな…」

「は?美味そうって見せてねーし…って、うわっ…っ!?」


ブツブツと独り言のように考えていた神崎は姫川の言葉にそのまま答えてハッとしてしまうが、それよりもソファーの縁に腰を下ろしていた斜め上にあった姫川の顔が近くにあって二度驚いた。

当然、顔が赤いままに。

「ちょ…ってめぇ…ッンン」

「ホント、甘いにおいしてんぞお前…」

「っ…」


その声と同時、くん、とにおいを嗅ぐような姫川の鼻が首筋や耳を刺激して神崎の肩が震え揺れる。

悪戯に唇を肌に寄せられ小さなリップ音が聞こえて声が上がりそうになり慌てて神崎は姫川の肩を押した。

「ば…っ朝っぱらから盛るなっバカ…っ」

「…盛るって。知らねーのか?チョコって性欲とか刺激するんだぞ?」

「はぁ!?しらねーしっ…つーか、ふざけてるとてめぇになんかやらねぇからな!」

「ふざけてはいないが…何だ。もしかしてオレにチョコ作ってくれたのか?」

「う…っ、ついでだったからな…っ」


ソファーの上でじりじりと下がりながら神崎は恥ずかしそうに小声に答えた。


「どうせ、催促されんならこうした方が手っ取り早いだろうし、…ほらよ」


半ば悪態吐きながらだったが、脱いだコートをひっぱればポケットの中からラッピングされた小さな箱を出して突きだすように差し出した。

「い、いらなかったら持って帰っからよ。遠慮なく言ってくれ。」

「…いらねぇわけないだろ。」

上目遣いに伺う様子の神崎に姫川は目眩に襲われ今にも目の前の神崎自体を食べたい衝動になるが深呼吸をして我慢して。

神崎から差し出された手の平に乗るラッピングされた箱を受け取る。

「別に、大したもんじゃねーからな。」

「いや、お前からってのがあるからな…」


姫川は、そう言いながら、白いリボンを解いてがさがさと赤い袋を開ける。

中の黒い箱を取り出してその蓋を開けた。

一口サイズの四角い白と茶のチョコが型のシートに交互に入っていた。

シンプルだけど、神崎のイメージからすれば、十分に可愛いものだと姫川は思う。

自然に口元が弛む事すら自覚出来た。


「食べてもいいか…?」


言いながら姫川は、一つ茶色のチョコを摘まむ。
答えを待たずに姫川はそのチョコを口に運んだ。
口内に入れて舌で舐めると甘苦い味が広がった。


「お、おう……」


素っ気なくも様子を伺ってしまう神崎は遅れて答え頷いた。

「…不味い、か?」

「いや…チョコの味だな」

「当たり前だろ…チョコなんだしな」

「ん…そうだな。甘くて良い感じに融ける。」


その味を楽しんでいる姫川の言葉とうっすらと緩い笑みに神崎は安堵した。

ほっと息を吐いて小さく笑みを浮かべた。

が、ふと、顎をつかまれ上を向かされた。
驚いて少し開いた神崎の唇に姫川の舌が滑り込む。

「んん…っ!?」

姫川の舌が口腔を這うとすぐに舌に絡み神崎にも甘い味が広がって目を見開いた。
口付けが深くなる。
擦るように口壁を舐められるとゾクゾクと背筋が痺れて驚きと抵抗に掴んでいた姫川の服の皺が弱まっていく。
姫川の目がふと笑った気がした。
角度を変えるように舌が押し入る。
神崎の舌は絡め取られ、舌上で蕩けたチョコが媚薬のように伝わり舌先から熱が体中を走る気さえしてくる。
舌を強く吸われてビクビクっと神崎は震えた。

「ん…っは…っぁ…」

「ん…」

どちらともなく熱っぽい声が洩れる。

甘い

甘い

食べられてしまいそうなキスだと神崎は熱に浮かされた思考に思った。

息もつけないほどの長いキスに神崎は酔いしれる。


「な、甘いだろ…」


「…ハァ…、ああ…だな」

ちゅ…っと唇が濡れた音を残したまま離れて姫川が笑う。

その笑みに神崎は照れくさくて視線をそらした。


唇が熱くて甘い事に、また熱があがった気がしたから。



こんなつもりはなかったんだけどな…

まぁ、悪くない気分だからいっか…


Happy Valentine's Day!

with all love.




2014.2.14:姫川×神崎




う…裏我慢したよ←何
お読み頂けて感謝。

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00:37
Happy Valentine's Day! ★古市×男鹿
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「あー…今日はバレンタインか」

「え?ああ、そうだけど…何、まさか今知ったとか?」

「いや、そういうわけじゃねぇけど…」



白く雪の続く道を歩きながら男鹿がいきなり言った言葉に古市はきょとんとする。
この時期になると世間は浮かれるもので街やコンビニでさえ、そういう雰囲気に着飾っている。

なのに、男鹿は今知ったかのような物言いをしたからさすがに驚くしかなくて。
ホント、興味ないことには気づくの遅いよなぁ。

オレなんかずっとバレンタインという言葉の響きだけでテンションあがってるのに。

(貰えるとかの問題はあとにして)

ていうかさ、昔からそうだよね。


まぁ、いいんだけどね。


「ダッ」

「ああ、わかってるって」


ふと、男鹿の背中に居るベル坊の声がして考えを止める。

というのも、男鹿の家に行ったはいいが、ヒルダさんに出掛けるように半ば男鹿と共に追い出された。
多分、様子を思い出せば自然と想像できる今日という日。

きっとチョコを作るんだろうな、と。


「で、どこに行くのかな?さすがに雪遊びはしないよね」

「うーん、そうだな。それもいいけど…」

「いいのかよ!」



さすがに寒いから遠慮したいんだけど、とぼやきながら隣を歩く男鹿を見る。

男鹿はべる坊を背負っているから暖かそうだなと古市は思う。


「ね、男鹿。腕組んでい?」

「…あ?何でだ」

「んー…寒いから」

「嫌だ」

「ですよね」


オレ的には手を繋ぎたいくらい体温欲してるんだけどな。

ベル坊になりたいとすら考えてしまうのは何だろう。

うーん、嫉妬かも。

じっと、ベル坊を観ていれば「ダブ!」っと小さな手でパンチされた。
小さくても痛い。


「ほら、こいつも気持ち悪いってよ。」

「……ひど」


古市は大きく溜め息を吐いて肩を落とした。

暫く歩いて、見慣れたコンビニが見えてくる。

と、男鹿が足を止めた。


「入るぞ」

「え?あ、うん」


言いながら男鹿がコンビニへと近づき店内に先に入っていったから古市も後を追った。


「何買うの?」

「……」


聞きながら後を着いていけば、バレンタインコーナーの一角に男鹿が止まったから面食らう。


「え?買うの?」

「…悪いかよ。こいつがテレビ見ててさ、食べたいって言ったんだよ。だからな」

「アイ〜!」

「あー…なるほど」


そう言いながら、適当にチョコを選んでレジに行った男鹿に肩を竦めて古市は息を吐いた。


結局、ベル坊には甘いよなぁ。

やっぱり妬けちゃう、な…なんて。

でも、ベル坊は嬉しそうだし…他意も不純もない。


「仕方がない。オレも温かい飲み物でも買うかな…」

言いながらホットの中からカフェオレのペットボトルを選び古市もレジへと向かい会計を済ませた。

手に持っているだけで良い保温になる温かいペットボトルで暖を取りながら来た道を辿る。


「用はすんだ。帰るぞ」

「うん。そうだね。寒いから帰ろう。」


すぐに帰れば件の相手に文句を言われ兼ねないが、何分人間にはこの寒さには敵わないから許して貰うとした。



「はぁ、外は寒かったね」

「ああ…」


帰ってくればヒルダから文句を言われる前に男鹿の部屋へと入った。

案の定、甘いにおいが漂っている家内に癒される。

部屋に入ると、男鹿の背中から床に降ろされたベル坊は早速コンビニで買ったチョコの箱を開けて美味そうに食べ始めていた。

赤ん坊独特の嬉しそうな声があがる。

それを横目に古市はベッドに凭れるように床に座った。
男鹿は暖房のリモコンに手を伸ばしてピッ…と起動させた。
徐々に部屋の中を温かい風が流れ暖たかくなり始めたところでコートを脱いでベル坊の横に座る。


「ていうか、ヒルダさんチョコ作ってるよ絶対」

「……ベル坊にだろ。朝、聞いてたからな。」

「ふーん…なら買いに行かなくてもよかったんじゃない?」

「……」

わざわざ行かなくても待っていれば、出来上がったチョコを食べることになるだろう。
そんな事を考えながら男鹿に問いかけたが、男鹿がいきなり無言になるから古市は首を傾げた。


「…?どうかした…?」

「オレは作れねぇからな」

「え?」


がさがさとコンビニの袋の中を漁ったかと思えば、徐に差し出された箱に古市は驚いた。


「あれ、二つ…?ベル坊のだけ買ったんじゃ…」

「…違ぇよ」

「もしかして、くれる、とか?」

「…いらねぇのかよ」

「ううん!いるに決まってるじゃん」

「…っ」


古市は満面の笑みを浮かべて、差し出されたベル坊のそれとは違うチョコの箱を受け取った。

ハートとか最高に嬉しいよね。

つんけんしてるけど照れたような男鹿も可愛いし。


「ありがと。凄く嬉しいよオレ」

「っ…そりゃよかった」

「うん」




Happy Valentine's Day!




*****おまけ*****


午後3時
一般的おやつな時間。


「ヒルダさんからの生チョコ、ビターな味わいだね」

「…だな。つーか普通にできててまずはよかったんじゃね」

「ハハ、それは言っちゃ駄目だろ」


料理の腕は確かに微妙なヒルダの事を考えれば同意してしまうしかない。

しかし生チョコとはなかなか美味いもので。

蕩けてなくなる感覚はまったりとして良い。

「……おいし」

自然と笑みが浮かぶ。

と、ふと生チョコを摘まんだ男鹿が古市の口元にそれを押し付けてきたから古市は目を見開く。


「んぅ…?何…」

「食え」

「は?あむ…っ?」

「…っ」


驚くままに口をあけたと同時、男鹿の指ごと口の中に入ってきたから古市はくぐもった声を洩らす。
男鹿もぴくりと眉間を寄せた。

どうしたものかと様子を伺うも、男鹿の手は引かない。


「ん…」

「…っ」


じわりじわりと口の中にあるチョコが融ける感覚に舌を動かすと男鹿の指に触れたようで。

男鹿の指がぴくりと小さく動いたことを古市は感じた。

それでも引かないから。

男鹿の指に舌を絡ませるように舐めてみる。

甘い指をしゃぶり舐めて吸えば、ちゅっと濡れた音がした。


「ん…甘い」

「は…っ」

「くす…息あがっちゃってるよ。指舐めただけなのに」

「…っ、お前がエロい舐め方するからだ、ろ…っ」

「誘ったのはそっちでしょ…」

「っ…ばか」

「可愛いな男鹿ってば…」

「うるせ…っ、ん…」



古市は笑みを浮かべたまま囁くと、指から唇を離して顔を上げると唇にキスをした。



甘い

甘い

口づけ


それは、幸せの味がした。

「好きだよ」




2014.2.14:古市×男鹿




長くなった…。
とりあえずべる坊に見られ…てないといいね(爆)

お読み頂けて感謝ですo(^-^)o

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