記憶を継ぐ者

□プロローグ
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真っ暗だ……


寒いし風が冷たい…


体中が痛い




意識が浮上して閉じていた目をそっと開くと知らない場所だった


夜で回りがよく見えない


ボクは壁に背をつけて座り込んでいたようだ



「逃げなきゃ…」



理由はわからないけどそう思った


冷たい風に身震いしながら壁を使って立ち上がろうとしたが何故かバランスを崩して前に倒れた


そこで気づいた
あるはずの膨らみが無く感覚もなかった



「左足が……ない…」




どうして足がないの?


ここは何処なの?


ボクは誰なの?






わからない


何もわからない


わからないけど、逃げなきゃ



逃げないといけないという強い意思でもう一度壁を使って立ち上がり、壁に手をつきながら慎重に片足で跳びながらこの知らない場所を移動した



どのぐらい移動しただろう、何度か転んでは立ち上がり片足だけの移動は長く感じた
しばらくすると明かりが見えて来た
長い暗闇から見えた光にホッとしたのもつかの間、ボクの体は限界でその場に座り込んだ

光が見えるってこんなにも安心するのか…

少し休んだらあの光の所へ行こうとそっと意識を手離した




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