頂き物・捧げ物

□人は変われる
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風紀委員でいつも桂の髪の毛のことで追い回してた俺。
それに対して反抗して髪の毛を切ろうとしない桂。

周りからみれば犬猿の仲、いたちごっこ、とかそんな風に見えてただろうな。

けど、実際違った。
わりと、仲はよかった。


俺だって風紀委員でなければ桂の髪の毛を切れなんて絶対言わない。
実は俺はあの長くてサラサラの髪の毛も、桂も、好きだったんだから。





そんな日常が続いてた中で、卒業間近の、ある日の会話。

「なぁ土方」

「ん?どうした、桂」

屋上で二人きりになると、誰も聞いたことないんじゃないかってくらい
優しい口調で俺に話しかけてきた。
その時間もまた、俺にとっては至福の時で。


「お前、好きなひととかいるのか?」

「えっ…!?」

「なんだその驚き様…え、本当に」

「いいいいいいいねえぇよ!」

俺が桂のこと好きなこと、ばれたのかと思った。
過剰なまでの反応をしてしまった。今の出バレたとか…ないよな?いやいや、ないない。
変なとこ鋭いくせに恋愛にしては超をつく鈍感。
多少のことでは気づかないだろう…なはず。

「タイプはどんなんが好きなんだ?」

「何…どうした桂。そんなに俺の恋愛事情が気になるのか?」

「う、うぬぼれるのもほどほどにするがいい…!」

「冗談だって…んな怒んなよ。」

なんだ…?いきなり顔真っ赤にして…
かわいい…って何言ってんだ俺!!!

「そうだな…タイプねぇ…」

お前ですーっていいたいところだけど、そんな恥ずかしいことはできない。
第一、桂に軽蔑されたら俺生きていけない。

「…髪の毛サラサラで、長くて、…俺と二人きりになるとすげー優しい口調になって。
なんつーか…自分の生き方をしてる……女性、かな。」

ああああ最後の余計だった…
っていうか、今の告白する雰囲気だったんじゃ…いや、でも…

「…そうか。よくわかった。」

「? おい桂、どこ行くんだよ」

見ると桂は屋上の階段に続く扉を開こうとしていた。

「いやな、女の子に『桂くん、土方君のタイプをきいてほしいのぉー』って言われてな。」

女の子の声真似をして説明した。
は、はぁぁぁぁぁ!?

「……告白しなくてよかった…」

「ん?何か言ったか、土方。」

「んいや、なんも。」

残念のような、安心したような…なんとも複雑な気分。

「ではな、土方。」

「あ、あぁ…」




こうして俺たちは別々の道を歩んだ。
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