桂総受け@

□「桂少年とゆかいな仲間たち」がタイトルだけど男はみな心は少年なはず
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銀魂男子高校。
全学年合計人数103名、9クラス。
1学年約30名。
そこはむさくて有名な男子校。
しかし、その中には「ムサい」という言葉に
全く無関係な男がいた。

桂小太郎。3−B。
生徒会会長を努める男だ。
外見は男より女に近い。
白い肌、細い体。そしてさらさらな長い髪。
男子生徒から絶対的な人気を集めているが、
本人自覚なしなのが厄介で、男たちを苦しめている。


「桂ァー」

朝。登校中、後ろから自分の名前を呼ぶ声。
桂はその声に振り向く。聞き覚えのある声だ。

「おはよう。」

走って駆け寄ってくる男に少し微笑んで朝の挨拶。

沖田総悟。桂と同じクラスで生徒会書記。3−B。
さわやかな外見とは裏腹に腹黒ドSな性格の男だ。

桂のことが好きな人の1人。
さわやかな桂の会釈に少しときめいたが、顔には全く出さない。

「やっぱ桂、来るの早いなァ。朝強いのかァ?」

「いや、弱い。だから9時には寝ている。」

「小学生かィ」

こんなしょうもない会話でも沖田にとっては至福の一時である。
いまこの時間を邪魔するような輩がいれば、
間違いなく彼のドS機能が作動するだろう。


「桂、総悟。」

沖田が顔を思いっきり顰める(しかめる)。

沖田が最も嫌っていると思われる人物、
土方十四郎、生徒会副会長。3−C。

「はぇぇな、二人とも。・・つうか、なんで2人で登校してんだぁ?」

もちろん、である。桂に惚れているのだ。
彼の瞳孔は、もちろん全開である。

「なんで・・って・・。ていうか、瞳孔開いてるぞ。」

桂が困った顔をしている。
一緒に登校することの何がいけないのか。全く理解できない。

「桂ァ、土方サンの瞳孔はもともとでさァ。
別にいいじゃないすか?
ふつーに俺ら、仲いいですから。なァ、桂?」

土方を挑発するように桂と肩を組む。

「あぁ。俺たちはふつーに仲がいい。」

桂が少してれた風に言うもんだから、土方は更に苛々しはじめる。

土方は納得いかないまま、沖田は満足そうに、桂は楽しそうに、
自分のクラスに向かうのだった。




「桂ァ」

「何だ?」

二人は同じクラスなうえ、前後の席。
もうこれは運命だろう、と沖田は思ったりもした。

「彼女ってさァ、欲しいかァ?」

いきなり何を、と桂は教科書を整えながら聞く。

「やっぱ、男子校だと、彼女作りにくくないかィ?
もういっそ、男を恋人にするとか・・・。」

もちろん、沖田の作戦である。
地味にアピールして、反応をみるつもりだ。

「・・男?」

食いついてきた。沖田はにやりと笑う。しかし。

「そんなことがありえるのか?・・・初耳だ。」

寧ろ沖田に100のダメージ。
今までそんな目で見てきたのは俺だけだったってことか?
じゃぁ今から0からのスタートってわけか。
思わず頭を抱える沖田。
わかっていたけど。
コイツが相当な曲者だってことはわかってたけど。
沖田は恐る恐る次の質問にいく。

「じゃあ、男はナシってことですかィ・・?」

「ありえるんだったら・・アリか。」

沖田は心の中でガッツポーズする。
自分にも可能性があるってことで。

「俺は・・アリ?」

上目遣いで聞いてみる。
正直返答、すっげー怖い。
でも、反応は予想外のもので、
桂が顔を真っ赤にしたのだ。

「えっ・・と、あの・・」

かわいい。
沖田も思わず顔を赤く染めたが、すぐに消えた。
彼はあまり感情を顔に出さない。

「・・・アリ?か・・・。」


そういった瞬間、チャイムがなった。
桂は俯く。
沖田も前を向いた。
あの顔を知っているのは俺だけ。
あの答えを知っているのも俺だけ。
沖田はとてつもない優越感にかられたのだった。


「おーい、ヅラァ」

小声で桂を呼ぶ男がいた。
坂田銀時。問題児で有名な奴でいて、桂の幼馴染。

「ヅラじゃない、桂だ。銀時、チャイムはもう鳴っているぞ。」

桂が席を立ち、銀時のもとへと向かった。

沖田が顔をしかめた瞬間をクラスのほとんどが見ていた。
彼はみんなから一目置かれているのである。

沖田は旦那こと銀時を尊敬しているが、桂のことになれば別。
土方同様、バズーカで排除すべき相手となる。

「リコーダー貸してくんねぇ?忘れちゃってさぁー、
今度忘れたら尻でカノン吹けって言われててマジやべーんだよー。」

リコーダー!?!?
沖田がさらに顔をしかめる。
それって、間接キスじゃねェか!!

もちろん銀時は、わざとリコーダーを忘れたのだ。
でも、嘘は何一つついてない。

「まじでか。それはいやだな。しょうがない、貸してやろう・・」

桂が最後まで言いかけたとき。

「坂田!チャイムは鳴ってんぞー、教室に戻れ。ヅラっちも席つけー。」

「ヅラっちじゃありません、桂です。すみません。」

タイミング良く、3−B担任、長谷川がやってきた。
来なかったら沖田は間違いなくバズーカを取り出していただろう。

「へー、へー。マダオのくせに先公ヅラして。
だから奥さんに逃げられるんだよ〜・・。」

「ハツ(奥さん)のことは言うなァァァァァ!!
っていうか、関係なくない!?」

マダオ。皆さんご存知、
まるでだめな男(夫でもオッサンでも可)の略である。

「旦那ァ、やりますねィ。こりゃゆっくりしてられねぇや。」

沖田の顔が今まで以上の狩人の目になったことに
クラス中(桂とマダオ以外)が震え上がったのだった。








続く
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