桂総受け@

□人間は自分の利益でしか動かない
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攘夷学園。

そこは由緒正しき男子校である。

そこに、一人の風紀委員がいた。


桂小太郎。2−1風紀委員。
この学園にトップレベルの成績で入学した、この学園じゃ有名な男。
黒くてさらさらな長髪、白い肌。

男子校のここで、彼が目をつけられない訳がなく。
もちろん桂の追っかけで学園に入学したものも数少なくない。
彼はそういうことには一切気づいていないのだが。


毎週水曜日。彼が風紀当番の日である。
そこでは微かなる男たちの戦いが繰り広げられていた。



人間っていう生き物は自分の利益でしか動かない

「高杉!制服はちゃんと着ろと言っているだろう!
貴様それでも攘夷学園の生徒か!?」

さっそく桂の注意が登校してきた生徒に飛ぶ。

高杉晋助。桂と同じクラス。
シャツをだぶらせ、第4ボタンまで全開。
さらにはすごい腰パン。
もちろんわざとで、桂に近づくため行っている行為でもある。

「ヅラァ。朝からご苦労なこった・・。」
「ヅラじゃない、桂だ。全く、何回注意すれば直してくれるんだ?」
桂が右手で頭を抱える。

「そりゃぁ、ヅラが・・俺と付き合ってくれたら、だ・・・。」
(言った・・!言ってしまった・・!)

桂からの反応がない。
もしかして・・・いけるのか?


「・・貴様、髪の毛が長いだけで、俺を女と間違えるな」

!?


もちろん、である。
彼の鈍感と天然と電波は筋金入りなのだ。
「え、あ・・、そういう意味じゃ・・」
「もういいぞ。早く自分のクラスへ行け」

高杉はがっくり肩を落とす。
しかし桂に逆らう訳にもいかないので、大人しく教室へと向かっていった。




「銀時!その髪、直せと言っているだろう!?」

次は、1ヶ月前くらいに転校してきた坂田銀時。同じクラスである。
髪の毛はパーマの上に白に近い銀髪。
ものすごく、目立つのだ。

しかし。
「ヅラ君、だからこれは地毛なんだってば。
一応コンプレックスなんだから触れないでやってくれよ〜。」
「そんな髪の毛あるわけなかろう!」
「いや、あるって言ってんだろ!あるんだからさ!」

天然パーマで銀髪なのは遺伝子のせい。
彼自身だって何度自分の親の顔を見てみたい、と思ったことか。
しかし彼は捨て子。
知り合いの叔父さんに育ててもらってきたのだ。
たまに、「俺が小さい頃に親が染めて、パーマ掛けたのかも・・」なんて
思ったりするが、そんなはずもない。

でも今ではこの髪の毛に感謝していた。
だって、桂が声をかけてくれるから。

「まじなんだって。信じろよ」
「・・まじでか」
「おうよ」

「・・わかった。」
まじで?!
「わかったから早めに直しておけよ?
ホラ、教室に行け」

わかってねぇじゃぁん!!!

やはり桂に逆らうわけにはいかないので、
しょんぼり教室へと向かった。




「沖田!土方!不要なものは持ってくるなと言っているだろう!」

沖田総悟。桂の隣のクラス。
学園1の運動神経の持ち主で、腹黒ドS。

土方十四郎。沖田と同じクラス。
頭が切れる(いろんな意味で)サッカー部副部長。

二人の仲は決して良い物とは言えない。
そんな2人が何故、一緒に登校しているのかというと・・・

どちらが桂に近いか。

相手に見せ付ける為である。


「桂ァ、朝から元気じゃねェかァ」
「流石桂だ。尊敬するぜ・・。」

でも桂の顔は曇ったまま。

「貴様ら・・」
桂の視線が沖田へと向く。
沖田が土方とちら、と見て、勝ち誇ったような顔をする。
「まず沖田。その背中のもの。」
「バズーカでさァ」

見ればわかる。
登校する生徒はみんなバズーカを見て恐怖している。

「『バズーカでさァ』じゃない!何時になったらそれを家に置いてくるんだ!」
「置いてくるなんて、無理でさァ。
俺の体の一部ですぜ」
「んなわけなかろう。目立っているぞ」
桂の目が細くなる。
かなりの疑いの目。

ていうか、信じようとしていること自体、おかしいのだが。

「んで、土方。かばんからあふれ出ているそれはなんだ」
今度は土方に視線が行く。
「マヨだ」
「なんでマヨネーズをそんなにも持ってきているのだ!」
「俺の体の一部なんで」
「そんな訳あるかァァァァァァァ」
桂はバズーカとマヨネーズを取り上げる。
「「俺の体の一部〜」」
「しつこい!貴様らはさっさと自分のクラスへ行け!」

二人のこの勝負は引き分けに終わったのだった。




「ヅラっちー」
「ヅラっちじゃありません。桂です。
長谷川さん、近藤さん。おはようございます」

長谷川泰三。桂の先輩。
すごく真面目で負け犬な人だ。
グラサンをかけているが、桂には体の一部だと認識されているので、
校則違反をうたわれない。

近藤勲。同じく桂の先輩。
真面目で人情も厚く、多くの後輩から慕われている、サッカー部部長。

「朝から大変だな、桂は。がんばれよ」
「俺たちはヅラっちを応援してるから。」

と、二人いい過ぎ去っていった。


その後の桂はニコニコしていた。

桂は真面目な人が好きだったのだ。


校則違反で桂に構ってもらおうとしている男たちがそれに気づくのは、
何時になろうか。


馬鹿な男たちの戦いは続いていく。




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勉強中にふと思いついた。
風紀委員て、萌えるよね(ばか

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