青の祓魔師

□ロミオとラプンツェル
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———————…少し前に『ラプンツェルに似てる』と言われたことがあった

だけど、それが誰に言われたのか

いつ言われたのか、私にはどうしても思い出せない…———————




「ということで、今年の劇は【ロミオとジュリエット】に決定しました」

クラスの文化祭実行委員がそう告げると、黒板に書いてあったいくつもの題名を黒板消しで消した

そのなかに【ラプンツェル】という文字があったのにララは反応し、そんなことを思い出したのだった

「つぎに配役ですが…立候補はいませんか?」

文化祭実行委員はハキハキと次の行動を伝えていく

立候補はロミオとジュリエット以外決まった

みんな恥ずかしかったり、台詞を覚えるのに自信がなったりするのだろう

「それでは、ロミオとジュリエットは推薦で決めたいと思います」

文実が言い終わると、すぐに、ある男の声が聞こえた

「ジュリエットはララちゃんがええと思いますっ!」

キリッとした顔で珍しく真面目に発言したのは志摩廉造だった

「えぇ?!私…?無理だよっ!?」

ララは赤面しながら首を横に振って否定した

「えー?何でや??暗唱は完璧やし、なにより可愛えぇやん」

「え、演技なんて出来ないしっ!!」

ララはひらひらと手を振った

けれど、ララの必死な否定とは反対に廉造を支持する声が聞こえてきた

「金髪に赤い目なんてそうそういないしなぁー」

「大丈夫だよ、可愛いし!」

その声を聞いてララは否定するのが申し訳ない気持ちになってしまった

どうすればいいのかわからないまま、廉造に目を向けると得意気な笑顔で返された

「じゃあ、ララさんお願いできますか?」

「…はい、よろしくお願いします」

ララは深いため息をつき、頭を下げた

ちらりと再び廉造を見ると、いつものよくわからない笑いを浮かべていた

「じゃ、俺、ロミオやったるー!」

廉造は教室中に響くような声を張り上げた

その声に文実は了承したが、まわりからひやかすような声が聞こえてきた

「お前、台詞覚えられんのかよー?」

「どうせ、可愛いララ目当てなんだろ?」

廉造はすべて否定しない

全部、曖昧に笑い流すだけ




———————…あの人と似ていて少し違う笑い

ところで、あの人って誰のこと…?…———————
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