青の祓魔師

□バカと喧嘩は塾の花
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塾に早くもララは慣れてきた

しえみとかいう子も塾に入ったばかりらしい

しえみも彼女なりに真面目に頑張っている

その横には…真面目に頑張っているのだろうけれど…経験値があがらない少年がいた

いつも塾の教室の後ろに座るララからは燐の船のこいでる後姿が見える

「…村くん、奥村くん」

スキヤキ!?

「………起きなさい」

思わずにやついてしまうのをこらえ、先生の話を聞こうとする

「なんやアイツ…何しに来てん、帰れや

そこにあの鶏冠頭の少年が小声で文句を言っているのが聞こえてきた

人ではないので人以上に目と耳が良いララにとってははっきりと聞こえた

(…嫌な奴…別に燐だって寝たくて寝るわけじゃ…)

と心の中で呟きかけて燐の背中を見る

また船をこいでいた

奥村くーんしっかり






【悪魔薬学】

これは、奥村雪男が担当している教科だ

よってララにはどうしても好きになれない教科である

何故ならそれは…

「加藤さん」

ララは雪男に名前を呼ばれスッと立ってテストを受け取りにいく

…結果は8点

「…次は…がんばりましょう」

雪男は残念そうに顔を歪めていた

ララは雪男が嫌いだ

自分に似ているということもあるが…この人の何かが癇に障る

「杜山さん」

ララは雪男を呆然と見ていた

「…どうかしましたか?」

雪男も視線に気づいて、声をかける

「…別に」

この人の何が癇に障るのだろうかと考えていたのでぼぅっとしていたらしい

ぶっはは!得意分野なのにな!

「奥村くん、胃が痛いよ

「……スンマセン」

燐は点数が悪かったらしくあきらかに沈むような声を出した

それとは反対にララはいくら点数が悪くてもどうしても落ち込むことが出来なかった

「別にいいか」

暢気にそう考えていると突然、誰かの怒鳴り声が聞こえた

なんやと、俺はな祓魔師の資格得る為に本気で、塾に勉強しに来たんや!!

あの鶏冠頭の少年と燐が言い合っているようだった

止めるような恐ろしいことは出来ず、シュラに助言を求める眼差しを向けるが無反応

騒がしい喧嘩の仲裁を廉造と坊主頭の子が鶏冠頭を抑え、反対に燐は雪男が抑えた

「おっと、今日の授業はここまで」

雪男の言葉で喧嘩も授業も終わった





【体育・実技】

うおォおおおおお

燐と鶏冠頭の少年が競うように走っている

「はは…坊もけっこう速いのにやるなぁ、あの子」

「ねぇ、あの鶏冠頭の少年、坊ていうの?」

ララは廉造に鶏冠頭の少年の名前を訊いた

「え?あぁ、いやいや、坊は坊やん?」

「うん、坊なんでしょ?」

廉造の言葉がよくわからなくて、首を傾げた

「いやいや、だから…」

「坊の名前は勝呂竜士です」

廉造の言葉を遮るように坊主頭の子がそう言った

「ふぅん、勝呂…聞いたこと、あるような…ないような…あ、君の名前は?」

「え、僕ですか?僕は三輪子猫丸いいます」

なんとも可愛らしい名前だ、とララは思った

「いい名前だねぇ、親のどんな願いが込められてるの?」

「…あ…それは」

子猫丸は少し戸惑ったような顔をしながら何かを言おうとしていた

そこに先生の大声が聞こえた

コラコラコラ、聞きタマエ!!!!

「あかん…志摩さん」

「坊、またですか…」

そう言いながら二人は下のエリアに降りていき、竜士を抑えた

しばらくして、四人を引き連れ、先生が何か言いながら戻ってきた

「いいかネ基本的に蝦蟇は大人しい悪魔だが、人の心を読んで襲いかかる面倒な悪魔ナノダ

先生の話にへぇーとララは関心していた

蝦蟇の鎖の届く範囲には決して入らないことと言い残し、先生はどこかへ走っていった

なんやあれ…あれでも教師か!!

勝呂は呆れ半分、怒り半分の眼差しで文句を言っていた

生徒も生徒やしなあ

勝呂の怒りの矛先はまたしても燐に向かった

…なんだよ、さっきからうるせーな、なんで俺が意識低いって判んだよ…

授業態度で判るわ!!

喧嘩が始まるというよりも勝呂が一方的に怒っているようだった

勝呂は燐に勝負を挑みにかかった

が、あっさり燐は断った

「俺にもお前と同じ野望があるしな、こんなくだらない事で死んでらんねーんだ」

燐の言葉がララは気になった

(同じ?野望…?)

お前のはビビっただけやろが!!

勝呂はそういい、沈んだ顔を見せた

何で戦わん…くやしくないんか!!!俺はやったる…お前はそこで見とけ、腰抜け

「おい…やめとけ

燐達の止める声も届かないまま、勝呂は下のエリアへと降りていってしまった

シュラにまた助言を求める視線を向けるがまたしても無反応

(仕方ない…)

勝呂を刺激させないで大人しくする安全な方法はこれだ、と自分で考えを巡らせた

「…私もやるよっ!」

ララは声を張り上げた

「は?」

勝呂は間抜けな顔をしながら後ろを振り返った

「おい、ララまで何言ってんだ!」

「…。」

燐の言葉を軽く微笑み流すと下のエリアへと降りていった

勝呂の近くまで行き、声をかける

「まず、私がやる。そのあと…」

「何言ってるんや、女がそないな無茶なこと…」

「意味わかんない。何で、女が無茶しちゃいけないの?」

ララはむすぅとした表情で勝呂を睨んだ

「じゃあな、勝呂」

勝呂の肩を叩き、会釈すると歩みを蝦蟇のほうへ向けた
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