青の祓魔師

□HOTEL SAINT
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「…え」

目を開けると、最初に視界に入ったのは見慣れない天蓋だった

「あ、ララも起きたか?」

燐の声が一番初めに聞こえた

そのことにより、記憶が走馬灯のように駆け巡り、一つの結論に達した

「燐のばかっ!!」

そう言いながら燐の頬を思いっきり殴った

勢いで、燐はベットから転げ落ちた

「…あ、これ、二回目だ」

「痛てて…何すんだよっ!?」

燐は殴られた左頬を擦りながら、むくりと起き上がった

「…私の忠告、無視したでしょ!?」

「あれは非常時だったからだろ!!」

「何が非常時よっ!勝手な行動してどれだけ心配したと思ってんのよ!!」

そこまで言うとぽろりと涙が頬を伝って零れ落ちた

その涙を見て燐はぎょっとした顔に変わった

「心配、した…よ…燐が死んじゃったら…って…」

「…悪りぃ」

燐は頭を掻きながら、困ったような顔をしている

(燐達が死んだら…獅朗達にどんな顔して…墓まわりすればいいのよ…)

心の奥でそう呟いたが声には出さなかった

「ララちゃん…もう具合はいいん?」

「うん、平気」

ララは廉造の質問に笑顔で答えてしまってから、ハッと我に帰る

「なんで、私、志摩さんと話してるんだろう…」

しまった、という顔で呟く

「えー酷いわぁー別にええやんー話たってくださいよぉー」

「あんた、相当嫌われてるわよね」

「出雲ちゃんまでぇ〜」

出雲の声がして、ふいに振り向く

「あ、出雲さんは、怪我とかなかった??」

「あ…あたしは大丈夫よ」

出雲は照れたように頬を赤らめながら呟いた

「ララ」

突然、名前を呼ばれて振り向くと、勝呂が真剣な顔でララを見ていた

「お前といい…奥村といい…お前ら、揃いも揃って…バカちゃうか?」

燐もララも図星だったので、何も言えなくなり、固まった

「ララも奥村のこと言えへんぞ?…自分を犠牲にするな、言うといて自分が傷物になったやないか」

勝呂の話は段々と説教っぽくなってくる

「…どうすんねん。その肩」

「…どうするって…たいしたことじゃな…」

「また今度同じことしたら、死ぬかもしれへんのやぞ?」

「…。」

いっそのこと死んでしまったほうがいい、なんて言ってみようと思ったけれど

あまりにも勝呂が心配していたのでやめておいた

「ご、ごめんなさい…以後、気をつけます」

ララはしゅん…とうな垂れた

途端に勝呂が手を動かそうとすると、山田、ことシュラが席から立ち上がった

そのまま扉から出て行くのかと思いきや、山田はララの近くまで寄ってきた

「山田…?」

ふいに近づいてきた山田を皆、不思議に思った

山田はそっとララの耳元に口を近づけた

『今日の夜。正十字学園町…HOTEL SAINT、13号室で』

それだけ言うと点滴とつけたまま、山田は部屋から出て行ってしまった

「…なんや?あれ?」

勝呂は不思議な顔をして山田の去った扉を眺めていた

「なんか言われたん?ララちゃん」

「なんでもないよ」

ララはそう言って微笑んだ
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