青の祓魔師

□嘘はいつかバレるもの
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すっかり暑くなってしまった夏

初めて…というよりは約100年ぶりに外に出た暑さにララは、萎えている

徐々に暑さを我慢出来なくなってきた

このメフィストのふざけた遊園地が余計に苛立ちが増す

「皆さん、初任務どうしたはりました?」

隣にいるはずの廉造の暢気な声が暑さのせいで遠くに聞こえた

口々に何か言っているがララの耳には聞こえない

「オイ嘘じゃねーんだぞ?な、ララっ!」

「…。………うん」

話の意味がわからなかったが、一応肯定しておいた

ふと顔をあげると山田の姿が見えた

暑い中、フードを被り…ゲームをしている

普段のシュラならあんな暑さ耐えられないだろうに…

やはり任務という点においては彼女はプロなんだろう…と考えていた

「俺はあいつらまで候補生に上がりはったのが納得いかんわ

勝呂の文句を遠くに聞きながら、ララは立ち上がって山田のそばまでふらふらと歩いていった

「あれ…?ララちゃ…ん?」

廉造が不思議に思ったのかララの名前を呼んだが、当の本人には聞こえない

ゲームをしている山田、ことシュラの近くまで行くと、ぺたりと頬をくっつけた

…シュラにではなく、シュラのゲームにだ

「ひやっ…」

「…何が、『ひやっ…』だ…離れろ」

シュラは小声でそう言いながら、ゲームからララを振り払った

ララは、そのことにより力尽きたように、ぱたりと地面に伏っしてしまった

「…え」

それには周りの皆も、シュラも吃驚していた

「お、おおおい、ララっ!!?」

燐が大声で叫びながら倒れたララの元へと走った

「ごめん。お腹すいただけ」

「お、お腹すいたって…朝ごはん作ってやっただろ!?…食べただろっ!?」

「……うん」

ララはこくりと頷きながらも地面から顔をあげない

雪男が駆け寄ってきたのが足音だけでわかってしまった

「加藤さん…水分は?」

「水…?飲んだよ??」

「そ、そうだぜ?俺のミネラルウォーター飲んでたし」

「…。仕方ない、今日の任務は休んでおいてください…」

雪男はそう言ってララの上半身を起こした

それを嫌だ、という風にララは雪男の胸部を押して、突き放した

力もなく地面に寝転がるララ

「ちょ、ララさん、何やってるんだっ!」

雪男は思わず、素で怒鳴ってしまった

「…任務はやる。」

ふらふらと立ち上がったララ

皆、心配そうに見守るが雪男は呆れたようにため息をついただけだった

「すみません!遅れました…!!」

そこへしえみと出雲が走ってきた

いつもと違うのはしえみが制服を着ていることだった

「えーでは、全員そろったところで二人一組の組み分けを発表します」

「三輪、宝」

ララはふらふらと彷徨う足をきっちりとそろえて名前を呼ばれるのを待った

「山田、勝呂」

勝呂は不服そうにイラついた表情を見せた

「奥村、杜山」

一方、燐としえみは楽しそうに顔を見合わせた

「神木、志摩」

志摩はでれぇ〜と出雲の顔を眺めた

「雪男っ!私はっ!?」

「…加藤さんは休んでおいてくださいと指示したはずですが」

「私も任務やるって…」

「今回はここ―――」

雪男はララのことは無視で任務の説明を始めた

「霊の目撃・被害の報告が入ったため、候補生の皆さんにその捜索を手伝ってもらいます」

霊とは、人や動物などの死体から揮発した物色に憑依する悪魔だと雪男の指示で、出雲は定義を話していた

「見つけたらすぐ、椿先生か、僕、奥村の携帯に連絡すること」

ララがいくら話の腰を折ろうとしても、雪男はまったくの無視で話を聞こうともしない

以上、解散!の声で任務は始まってしまった

「ちょっと、雪男…っ!」

「加藤さん…体調が悪い場合、任務の足を引っ張りかねません。休んでください」

雪男はそれだけ言うと椿先生と一緒にどこかへ行ってしまった

むすぅ…とした表情で雪男の後ろ姿を睨んだ後、ハッと思い出した

「組がないなら、入ればいいじゃないっ!」

マリーアントワネットの台詞をもじって一人、呟いてみた

遠くにはそれぞれ組に分かれた人たちの後ろ姿が見えている

私は…

子猫丸と宝くんについていく→P2(次)

出雲ちゃんと志摩さんについていく→P3

勝呂と山田についていく→P4
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