青の祓魔師

□嘘はつきたくない
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バンザーイ!!無事帰還や〜!!

廉造は安心の息をつきながら、手を広げた

「おっお疲れさん無事戻ってきたな」

シュラの後ろにいる出雲と宝に皆は驚いた

「あれ?そういえばお前ら全員か?」

シュラの質問に全員、首を傾げる

「あ!そういえば誰もギブアップしてないのかさっきロケット花火は誰が…」

シュラが言い終わる前に上から、高いような低いような独特の声が落ちてきた

「ひゅ――――…シュタッ」

そう、文字通り、落ちてきたのだ

「ゴーベヒモス

上、空から落ちてきた青年はそう言って、ベヒモスの鎖を解いた

「うわ

「ボヤッとするな

シュラはそう言いながら、剣を召喚する

その言葉から、瞬時にララは、目の前にいる青年は、敵であることを理解した

ララも刀を取り出す

「待ちくたびれたよ…

シュラはそう言いながら、ピュイッと口笛を吹いた

すると、今日書いた魔法円のちょうど中央の地面がボコボコと盛り上がった

地面のなかから現れたのはおそらくシュラの使い魔か、なんかの蛇だろう

ボッと炎が体に灯ると、火は地面を切って、魔法円まで広がった

光が一帯を包み込むと、青年はあっという間に飛ばされてしまった

「魔法円を書いた時に中にいた者は守られ…それ以外を一切弾く絶対牆壁だ」

しばらくは安全だろ、と良いシュラは息をついた

絶対障壁…!?

勝呂達は驚きを隠せず、先程の敵に戸惑っている様子だった

「訓練は終了だ。今からアマイモンの襲撃に備えるぞ」

…は?アマ…!?

出雲は聞き間違いか、と思ったのだろうか、少し戸惑った声でそう聞きなおした

それにはお構いなしにシュラはトリプルC濃度の聖水で重防御するから、と皆を集めた

アマイモン…??

「アマイモンって八候王の一人の"地の王"ですか、さっきのが!?」

「そうだよ祓魔師程度じゃ到底適わない超大物だ、だから防御するってんだろう、ホラ並べ

シュラはCCCという字が書かれたタンクを持ち上げていた

次々と聖水をかけていくが、燐のところで一旦止めた

「おっとアブねッお前にかけたら大変なところだった」

そうぼそぼそと独り言を言って、燐の横にいるララにちらりと視線をむけた

「お前もだったな」

燐とララを避けて、皆に聖水をかけるとシュラは祓魔師らしく胸元で十字架をきった

「"元始に神天地を創造り給えり"」

創世記第1章1節の言葉を言い終わると、体が乾ききるまでダメージを軽減するだろ、と説明した

「…!?奥村とララには何もせえへんのですか?」

「あー…コイツ等なんつーか聖水アレルギーでさ」

こんなところまで仲良しだよな、お前等、とシュラはからかい、真実味を足した

「聖水アレルギー!?そんなの聞いたことないわ」

しかし、勝呂は納得いかないようだ

つっ…つーか雪男は?

燐は何か話題を探していたのだろう、ふと雪男の姿がないことが目に付いた

「あ」

「そういえば…

「んーアイツは、ちょっと邪魔だからどっか行ってもらったよ」

シュラは暢気にそう返事した

「あの…アマイモンは一体何が目的なんです」

「さぁ何でかにゃあ?」

シュラは答えをわかっているが、ふざけた口調で誤魔化した

ララはシュラの姿を眺めていたが、ぷいっと顔を背けた

彼女もまた、こうなることを予想していたのだろう、と

そして、あのふざけた悪魔、メフィストによってアマイモンが何かを仕掛けてくる…

それも、燐に。

ララは心の奥で燐は絶対に守りぬくと固く覚悟を決めた

それと同時にメフィストに対するやり場のない怒りが心を支配する

「静まれ。…ここで怒っても意味ない」

小声でそう独り言を言っていると、勝呂が寄ってきた

「お前…大丈夫か?聖水アレルギーて…」

「うん、大丈夫」

ララは余裕がなく、いつもの笑みを浮かべることが出来なかった

無表情で答えてしまったので、勝呂はきっとララが不安がっていると思ったのだろう

「…まぁ、心配すんなや。なんかあったら…その俺が守ってやるし…」

勝呂はそう言って、ぽんっとララの頭に軽く手を置いた

「その…な、まかせとき」

思った以上に恥ずかしかったらしく、勝呂は頬を赤らめて目線をずらした

「一応、先生もおるし、牆壁もあるしな」

「うん、ありがとう。勝呂」

勝呂が気を遣ってくれたのはわかったが、今はやはり笑えない

あのアマイモンに勝てるか…いや、勝てはしない、ならどうやって逃げようか

逃げるためなら自分が犠牲になることだって厭わない

「そうですよぉ〜ララちゃん、何も心配することなんてあらへんよぉー」

そこへ廉造がひょっこり顔を出した

「さっきから難しい顔してぇ、皺が増えますよ、二人とも」

「お前は…少しは緊張感てもんないんか…?」

勝呂は呆れた顔で廉造を見て言った

ララもちらりと廉造を見る

いつものへらりとした笑み

嘘の笑みだ
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