青の祓魔師

□ロミオとラプンツェル
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はやくも、文化祭に向けて練習が始まった

「あぁ、ロミオ、どうして貴方はロミオなの?」

名シーンとも言われる場面の練習

ララが台詞を言い終わると廉造が演じるロミオの台詞になった

「…。」

廉造は張り付けた笑顔を引きつらせている

…私もこの名が憎い…だよ

ララは小声で廉造に台詞を教えてあげた

「私もこの名が憎い…貴方が望むのなら…私の恋人に…?」

「ちがーうっ!」

監督の声が体育館に響いた

「台本暗記しろって言っただろぉおお」

「いやん、そない怒らんといて監督ぅ」

廉造は猫なで声でその場を和ませた

ドッと笑いが体育館に湧き上がる

廉造は差し出された台本を少しの間、暗記してその日は無事練習を終えた





「…あかんわぁー」

祓魔塾にて、廉造は机にうつ伏せになりうなだれていた

「志摩さん、暗記苦手ですからね…どうして、ロミオに?」

子猫丸はいつもの和やかな調子で廉造をなだめるように声をかけた

「そりゃ、もちろん…ララちゃんがジュリエットだからや」

廉造はにやりと笑みを浮かべて教室の反対側にいるララを見た

その視線にララではなく出雲が気付き

汚いものを見るかのような目で見られ

ララと廉造の視線を合わせないよう間に立ちふさがった

「あら、出雲ちゃん、ヤキモチやろか?」

「多分、ちゃうと思うぞ?」

勝呂は教科書に視線を落としたまま呟いた

廉造はその言葉をあまり気に止めず、出雲の隣から見えるララの笑顔を見つめていた

途端に廉造とララの視線が絡まった

廉造はにっこりと笑顔を返した

ララはその笑顔に笑いかけ、出雲との話を途中で切り上げ、廉造達のところへ駆け寄った

「…え、どないしはったん?」

廉造は意外なことに少し動揺しながらも笑顔は崩さなかった

ララは少し照れくさそうな顔をしてから口を開いた

「ロミオ、どうして貴方はロミオなの?」

廉造は照れ笑いを浮かべながら、席から立ち上がった

少しララと距離を置くと、膝を床につきララを見上げた

「私もこの名が憎い…貴方が望むのなら、私は喜んで名前を変えましょう、貴方の恋人という名前を下さい」

「あっまっ!」

出雲の生意気な声が教室に響いた

「あんたにピッタリじゃない、その気持ち悪い台詞」

「ひどいわぁー出雲ちゃん…」

廉造は涙目で訴えた

「ララがジュリエットってのは当然だけど、なんでこんな変態がロミオなのよ?」

出雲は床に膝をついている廉造を見下ろした

「ララにふさわしくないっ!」

「そないなこと言わんといてぇーな…あ、もちろん、劇、見にきてくれるんやろっ?」

「あんたの為じゃないわよっ!私はララが出るから…」

「もぉー照れちゃってぇー」

「死ねっ!」

出雲はそう大声で叫ぶと、廉造の脛を思いっきり蹴った
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