青の祓魔師

□彼らを嫌いな理由
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途端、しえみの声が後ろから聞こえた

「おい、大丈夫かっ!ララ!!」

燐は自分の刀を手にララへと近寄る

「下がってて!刀抜けない燐がいても邪魔なだけだから!!」

気が動転していたのもあって、きつい言葉を燐に対して言ってしまった

燐はうっと小さく唸り、それ以上近づいてはこなかった

流石に戦いに慣れていないのもあり、ララは悪魔の攻撃を反射することしか出来なかった

(せめて、雪男がきてくれれば…)

そこまで思って、ふと思考を止めた

(なんであんな男に頼ろうとしてんだろう…私は)

自嘲気味に笑い、ララは刀を力強く振り上げた

やっとの思いで腕一本切り落としたが、それはあまり利いてなかった

悪魔は切り落とされた自分の腕まで近寄り、まるで犬が餌を食べるみたいに食べ始めたのだ

「「うげぇ」」

ララと燐は同時に思わずそう呟いて視線を逸らした

ぐちゃぐちゃとグロテスクかつ気味の悪い音を立てながら食べ終えると

ぶくぶくぶくと泡をたてながら腕が回復していった

襲い掛かってきた悪魔を咄嗟に避けることが出来なくてララは目を瞑った

「ララ!!」

燐が大声で自分の名前を呼んだのは聞こえた、それからは記憶がない






―――――…

目を開けると、そこは自分の部屋だった

むくりと上半身を起こすと、ダンがソファで気持ちよさそうに眠っていた

「…。」

ララはベットから這い出ると、いつものように顔を洗おうと洗面所まで歩いた

水道が遠目に見えてきた頃、燐と出雲が話をしているのが見えた

「燐、おは…」

「…ララ」

「どうしたの?」

燐のいつもとは違った真面目な顔の理由が思い浮かばなくてララは首を傾げた

「なんともねぇのか?」

「うん、なんとも」

ララはそう言いながら燐の横に並んで水道に向かった

「私、あの後、どうなったの?屍に襲われかけたところまで覚えてるんだけど…」

水を出して顔を洗う最中、昨日の記憶を思いだしながらそう訊ねた

「危機一髪で雪男が来たんだよ」

ピクッと小さくララの体が動いたと思うと、止まった

そしてしばらくして何もなかったかのように洗顔をはじめる

「…あ、そだ、朴さんは?」

顔を水から上げ、タオル…タオル…といいながら手を彷徨わせながらそう訊いた

「朴なら…大丈夫よ…」

燐ではなく出雲の声が聞こえた

「あんた達がこなかったらあたしも朴もどうなってたか…そ…そこは一応感謝してるから…!!

出雲の声もちゃんと聞こえてはいるが

今は顔を拭くのを優先したい

やっとのことでタオルの感触にありついたララは顔をゴシゴシとこすった

「わ、おい、ちょっと待て」

「…え?」

顔をあげると、そこには燐の顔

「あ、タオルじゃなかった」

燐のTシャツで拭いていたらしい

「ごめん」

「まぁ…いいけどよぉ」

燐は曖昧な表情を浮かべていた

「ちょっと、私の話…聞い、てっ…」

「聞いてるよ。朴さんと出雲ちゃんに大事がなくて良かった…」

「あ…」

ララの言葉を聞いた途端、出雲の顔は真っ赤に染まった

「おはよう」

突然、聞き慣れた声が聞こえた

奥村先生……」

出雲はさっきとは違って、真面目な顔になった

ララも変わって、雪男を見た途端、あからさまに嫌そうな顔を浮かべた

ララは雪男と入れ違う形で階段を降りた

「あ…加藤さん」

雪男はララを引き止めた

ララも雪男が先生の立場ということもあり、一瞬迷ったように足を止める

「加藤さんも魔障を受けています。一応、診察するので…」

「いいです!私は平気です」

雪男の方を振り返らないままララは階段を下っていった

「あ、加藤さん…!…はぁ…奥村くん、申し訳ありませんが加藤さんを…」

「わかった」

燐は雪男に言われて、すぐさまララの後を追って階段を降りはじめた
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