青の祓魔師

□彼らを嫌いな理由
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「おいっ!ちょっと待て!!」

燐の声が遠く後ろから聞こえてきたので、ララは足を止めた

「何?」

ララは愛想の良い笑みをこぼしながら燐のほうへ振り返った

「お前、どうして雪男のこと嫌うんだよ…っ!」

「…癇に障るから」

ララはもう話は終わったとばかりに足を動かした

「雪男のどこがだよ?」

ララの後ろを歩くように燐が追ってきた

「わかんないんだけど…なんていうか、ムカつくの」

「あ、あいつもあいつなりに…その…がんばってるんだからよ…」

燐は眉間に皺を寄せて何か良い言葉はないものか、と考えているようだった

「…そうだね。私が悪かったかも」

「え?」

「気に入らないからって避けちゃダメだよね」

反省、反省と呟きながらララは笑みを零した

「わかればいいんだ…あ、そうだ、お前、診察受けろよ」

燐の言葉に不本意であったが了承しておいた

「んじゃ、ほらいますぐ…」

「あとでね」

「えぇ?!」

燐は立ち止まりララの背中を見る

ララは燐が立ち止まったのを知り、後ろに顔を向けるが足は止めない

「魔障ってのはすぐ手当てしないと危ないんだろっ…!?」

「大丈夫だよ〜私のは一応だから…あっ!山田ぁ〜!!」

廊下の先に山田ことシュラを見つけ、思わず走り出した

近くまでいくとシュラが背中を向けているのにもかかわらず、思い切りジャンプして抱きつく

なので、必然的にシュラの首が少しばかり絞まることになった

おわっ…やめろっバカ!

シュラは抵抗する素振りを見せながら小声で叫んだ

「あ、ごめんごめん」
そう言いながらララは山田の首に回していた手を解いた

「おはよぅ、山田」

「…。」

シュラは何も言わず、ララの頭を撫でると廊下を歩いていってしまった

ララは、それを追いかけることはせず、黙って見送った

「ララちゃーん!!」

突然後ろから聞き覚えのある甘い声が聞こえてきて背筋が震えた

恐る恐る声のしたほうを振り返ると、案の定廉造と勝呂と子猫丸が歩いてきていた

「おはよう、子猫丸、勝呂」

「あれ、俺は無視なん?!」

「子猫丸、今日も可愛いねぇー」

「華麗なスルースキル持ってはりますね!?」

廉造が叫んでいるのを無視し、子猫丸の頭を撫でるララ

「あ、おはようさん、奥村くん」

「はよう」

「昨日は大変だったんやってなぁーララちゃんも」

廉造は愛想よくへらへらと笑みを浮かべながら燐と話をしている

それを横目で見るララ

雪男と同じくいけ好かない廉造

この二人、何か共通するものでもあるのだろうか、と考えていたのだ

「ララはなんともないんか?」

勝呂が途端に心配そうな顔で訊ねてきた

「うん、大丈夫だよ。全然、平気」

「ならええんやけどな」

勝呂はそう言ってララの頭を撫でた

しばらく撫でてからハッとしたような表情を浮かべた

「お、俺は…何を…」

「え?」

「なんでもあらへん!」

勝呂は耳まで真っ赤に染めて、廊下をずんずん歩いていってしまった

「あ、坊っ!」

「ララちゃん、またなぁ〜」

廉造はにこりと笑みを浮かべ、手を振りながら勝呂を追っていった

「…あ」

「どうした?ララ」

「わかったかも」

「…へ?何が?」

「雪男と志摩さんを嫌いな理由」

ララは、驚いたような顔をしながら廉造達の後ろ姿を見送った
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