ハンプティ・ダンプティの囁き
□遠くへ
1ページ/1ページ
電車の窓から覗いた 夜の街に飛ぶ灯りが好きで
飽きもせずに ずっと眺めていた。
ビルの明かりも 車の赤いランプも
線となって駆け抜けていく。
吊革に頼らずに揺られていれば
そのままそこへ放り出されそうで、
少し、怖かった。
目を瞑って時間を忘れたら
このままどこへ行けるんだろう。
終点の先へ
窓に映る灯りだけを連れて
行けるところまで行ってしまいたい。
帰らずに 闇に飲まれて
消え去ってしまいたい。
それが叶わないのなら せめて
この時間だけ 全てを忘れよう
目を開けなければいけない その瞬間までは
どこかへ 連れ去って。