ハンプティ・ダンプティの囁き
□河童
1ページ/1ページ
沼淵に並んだ葦の葉を
結ってあなたにあげましょう
陸の上で 木を切って
この岩に座る あなたのために
潜って捕った沼蝦を
葦で包んで吊します
あなたに分かってもらえるように
皿の破片も脇へ添えて
私は沼を治める者
怖がらせてはしまわぬように
沼の底から見つめるだけ
毎日毎日見つめるだけ
水掻きで 沼を押して
帰って行ったあなたを想う
あなたは気付いてくれたでしょうか
私の抑えたこの気持ち
今日で最後 これが最後
次に来る時あなたが見るのは
埋め立てられた 沼の姿
忘れてください どうかどうか
沼のことも 主のことも
私の屍が朽ち果てても
私はずっと 見ているから
忘れ去られたあなたの過去に
どうか私も 加えてください。