ハンプティ・ダンプティの囁き
□アベック
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スニーカーとサンダル
二つの足跡
砂に残る不規則な穴
水が寄せては削っていく
波の音はきらきらと
笑い声を上げるカモメ
白いつばさをはためかせ
ハタメカセ
足跡に続いてゆく
革靴とヒール
二つの足音
響いて 響いて
曲がり角を曲がった
階段を下りて また上がって
いつまでも続く二重奏
猫が二匹 並んで歩いて
ひなたぼっこの昼下がり
「ごめんなさい」を 言う代わり
「ありがとう」を投げかけて
足跡は 交わりながら
足音は 重なりながら
どこまでも どこまでも
まるで足元の靴のように。