ハンプティ・ダンプティの鼻歌

□停留所
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描いた空は

果てしなく広くて、



もっと汚したくなった


飛び散る絵の具。



青くて


蒼くて



心が、痛い。



「ごめん。」



そのたった一言。



ただ一言だけが、言えなくて、



心は、癒えなくて。




掻き消してしまいたい。



影が伸びないなら、いっそのこと。






掻き消されて、しまいたい。




バスが来なくて


待っていた、あの日。




どこに向かうかも分からず



だけど乗りたくて。




停留所に立ち尽くしていた。



結局勇気はなく、




「乗りますか?」



そう聞かれて頷けなかった自分が、





ものすごく悔しかった。



今なら迷いもなく



頷けるだろうか。


手すりを強く握って


足を踏み出せるだろうか。




空の下。


停留所。





いつ来るかも分からない



そんなバスを、今日も待つ。

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