□我儘
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シンがノックをしようと手を伸ばした瞬間だった。
ドアが内側から開きユダの長身が姿を現した。
「シン」
「っあ…ユダ。こんにちは」
「あぁ」
シンにほほ笑みながら後ろ手にドアを閉めるユダはそのまま手を背後に隠した。
だがそういう時に限って勘の良いシンには気付かれてしまう。
「?どうしたんですか?」
「………。いや、なんでもない」
「何ですか今の間は」
「なんでもない」
「なんでもない訳がないでしょう。変ですよユダ」
「なんでもないものはなんでもない」
小さく首を横にふるユダだが元々嘘が下手な上シンを心配させまいとわざと痛くない演技をしているからすぐに異変に気付かれてしまう。
「ユダ!」
めずらしく語気を強めたシンにユダは驚いた。