彩雲国物語
□愛しさを示すもの
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「嫌に決まってるだろう!?秀麗は、余の・・・私だけのものなのに・・・っ」
抱きしめられたまま押し倒されたので、劉輝の声は、秀麗の耳元で、強く聞こえた。
不意に抱かれる力が強くなる。
「ちょっ・・・劉輝ぃっ・・・痛・・・っ」
その声に、劉輝はハッとする。
「すっすまぬっ!つい・・・大丈夫か!?」
「う、ん・・・ぃたたた・・・」
横になったまま、秀麗が顔をしかめる。
劉輝はそっと、呟いた。
「・・・どうしても、不安なのだ。余のいないところで・・・秀麗が他の男と一緒にいると思うと・・・」
「ごめんなさい・・・申し訳なく思ってるわ・・・でも仕方ないじゃない。お仕事なんだから・・・」
「わかってる・・・けど」
劉輝はもう一度、秀麗を優しく抱きしめた。
「もっと、愛を示してほしい・・・私を愛していると」
「ど、どうやってよ?」
「こうやって―」
不意に秀麗の小さな唇がふさがれた。
柔らかくて少し冷たい劉輝の唇が押し当てられる。
劉輝は秀麗の上唇を、甘噛みするように愛でる。
突然のことに瞠目しながらも、秀麗は劉輝のそれに応えた。
互いに唇を擦りあわせ、その感触に心臓を震わせる。
「・・・ん・・・」
ときおり聞こえる秀麗の漏れたような声が、耳に心地よい。
劉輝は秀麗の顔を包み込むように手を添え、秀麗は劉輝の首に手を廻し、柔らかな髪の感触を愉しむ。
しばらく経って、劉輝が秀麗の唇を解放した。
「私の、愛が・・・伝わっただろう・・・?」
「・・・・・・」
顔と耳を真っ赤にして、秀麗はコクンと頷いた。