コードギアス

□恋風 の 舞
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時が止まった気がした。
何と言っていいのか、わからない。
「イマサラなに!?」と言ってしまいそうになり、二の舞はすまいと踏みとどまる。
 
曲が、優雅なワルツに変わる。
 
「…ぁ、…あの…」
 
何か言わなくちゃ、と、腫れた目を伏せながら声を絞り出す。
続く言葉がどうしても見つからなくて、代わりに涙が出てしまいそうになった。それだけは阻止しなきゃ。
 
「…何も、言わなくていいから」
 
ルルーシュの言葉に、カレンは思わず顔を上げる。
ルルーシュの、少しはにかんだ笑顔と、目が合った。
  
「え…」
 
「俺と…踊って、いただけませんか?」
 
―…返事は、決まっていた。
 
 
 
 
一応貴族の家にいるため、たしなみ程度に習ったことのあるダンス。
レッスンは嫌いだったけれど、彼と踊るのは、不思議と心地よかった。
 
あなただから、かしら―…?
 
 
「カレン」
 
「…なに?」
 
ゆったりとした音楽に導かれ、二人は静かに揺れる。
密着した身体は、どうしてか、熱かった。
 
「さっきは、…すまなかった」
 
「めずらしいのね、貴方が素直に謝るなんて…私も、ごめんなさい…」
 
本当は、とっても嬉しかったの。
貴方と一緒に、パーティーに臨めるなんて、夢みたいだったから。
 
すごく、嬉しかったんだよ―…
 
「…っ、」
 
 
…やっぱり、言えないけれど…
 
 
 
「カレン、俺は…」
 
「…?」
 
「実を言うと…」
 
 
 
 
ドーン、ドドーン
 
 
 
「       」
 
 
 
 
 
花火の演出で、掻き消された彼の声。
 
 
それでも、なんとなく聞こえた気がしたその言葉に、…
 
 
…カレンは大人しく、彼の胸に抱かれた。
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
「君とペアになれて、嬉しかった」
 
 
 
 
 
 
 
-end-
 
 
 
 
 
 
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