コードギアス

□Love Making
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「うぅ…さむっ!」
 
カレンは白い息を吐きながら、両腕をさすった。
暖房などあるはずもなく、依然、倉庫内は冷え切っている。
ふと隣を見ると、跳び箱に寄りかかるルルーシュも同じように寒がっている。
あんなに細い身体だ。そりゃあさぞかし寒いだろう。
カレンは内心「ざまーみろってのよ」とほくそ笑み、だが自分達が同じ穴の貉だということに落胆する。
このままでは二人とも凍え死んでしまうのではないか…?
それに、私は……いやいや、考えちゃダメだ。考えたら余計に…だからダメだってば!
 
「…寒いな」
 
「えっ、う…うん」
 
突然ルルーシュが口を開いたので、少しドキリとして返事をする。
シン…と静まり返った倉庫内は、カレンの大きすぎた返事を嫌に余韻に残す。
体育は5時間目だったので、今は6時間目の最中。
最悪なことに、6時間目はどのクラスも体育の授業ではないらしい。
一向に誰も来る気配がない。
不安、焦燥、寒さ…負の感情しか生まれず、だんだん具合さえ悪くなって来ている気がする。
 
ルルーシュは隣にしゃがみ込む少女を見下ろした。
彼は秘かに想いを寄せる彼女とのこの思わぬハプニングに、期待こそしていないものの、ラッキーは感じていた。
しかし、カレンとの親密度をあげるどころか、ラッキーを塗りつぶしてしまう程の寒さに、戸惑うばかり。
やはり、自分で仕組んだラッキーのほうが扱いやすい。
イレギュラーなラッキーは、ルルーシュに主導権を握らせてはくれないのだ。
カレンはよほど寒いのか、膝を小さくこすり合わせている。
…ん…?
膝をこすり合わせる…この様子は、どこかで見た気がする。
カレンではない、ほかの誰かが同じ行動を…
 
………!
 
「………カレン、もしかして君…」
 
「え…?」
 
「トイレ…行きたいんじゃないか…?」
 
「な…っ」
 
彼女の慌てようを見ると、どうやら図星らしい。
顔を髪と同じくらい真っ赤にしてあたふたしている。
ルルーシュはぎこちなくカレンのほうを向いた。
 
「ナナリー…妹が、昔おんなじ素振りをしてたんだ。そうやって膝をこすり合わせて、尿意を我慢してた」
 
「…………」
 
「その後…言わずもがな、間に合わなくて大変なことになってしまったんだけど」
 
「……へ、へぇ…ご愁傷様ね」
 
「いいや、愛しいナナリーのソレだ。別に汚くもなんともなかった。…ただ、ナナリーが責任を感じて泣き出しちゃって…そっちのほうが心が痛んだ。別に、足が不自由なんだから、仕方ないのに。逆に…すぐに気づいてやれなかった俺の方が兄失格だ」
 
「…貴方って…本当に、妹にだけは優しいのね」
 
そう言うと、ルルーシュは肩をすくめて少し笑った。
 
「どうかな………君も、優しくしてほしい?俺に」
 
「はぁ!?べ…別に………厳しくしてほしいと思う人なんて、いないでしょ!?」
 
「素直じゃないな」
 
そう言うとルルーシュは、ゆっくりとカレンとの距離を縮めた。
カレンはじりじりと後ずさったが、やがて壁にぶつかり、ふたりはフカフカのセーフティマットの上で座ったまま向き合った。
ルルーシュがとすん、と壁に手をつき、カレンを覆う。
 
「……可愛い」
 
「こんな状況で何いってんのよ…!」
 
「こんな状況だからだ、カレン……忘れさせてやるよ、トイレに行きたいこと」
 
「な…っん」
 
ルルーシュはすっと顔を降ろし、カレンの額にキスをした。
ぎゅぅっと目を瞑っていたカレンはきょとんと目を開ける。
 
「おでこ…?」
 
「…唇にされると思った?」
 
「!!」
 
顔をまた真っ赤にさせて、カレンが上目に睨んでくる(そそるからやめてほしい)。
ルルーシュはくすっと笑って言った。
 
「唇に欲しいときは、ちゃんとお願いするんだ、カレン」
 
「………ルルーシュって意外と変態でいじわるなのね」
 
「ん?」
 
「……………キ…ス……して?」
 
(言われなくても、するけどな)
 
最高にルルーシュの性欲を煽る『お願い』に、不適に笑んだ彼は唇を重ねた。
 
 
 
 
 
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