コードギアス

□恋風 の 舞
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クラブハウス内のホールに、華やかな音楽が流れる。
今日は毎度恒例ミレイ会長によるフェスティバル、ハンドメイドドレスパーティーの日。
参加する生徒たちがパートナーや友人と笑いあいながら、ダンスを楽しんだり、無料で出されるちょっとした料理を頬張ったり、「次はだれを誘う?」「…や、やっぱりルルーシュくんかしら」「キャー!本当に誘うの?頑張って!」と意中の異性の噂話をしたり…。
そんな、ざわざわという楽しげなざわめきの中に、あまりにもその雰囲気に不釣合いなペアが一組いた。
 
 
 
 
 
 
≪恋風 の 舞≫
 
 
 
 
 
 
 
 
 
女の子たちの噂にも上っていた生徒会副会長ルルーシュ・ランペルージは、隣にむすっとした表情で佇むパートナーを見下ろした。 

「せっかくのパーティーだっていうのに、なんて顔をしてるんだ、カレン」
 
「うるさいわね。…誰のせいだと思ってるのよ」
 
「とんだ濡れ衣だな。むくれっつらをしたいのはこっちの方だ…俺はナナリーをエスコートしたかったのに」
 
今夜のダンスパーティーのペア決めは、ニーナが作ったなんだか物凄いアミダクジ(確か、三次元タイプだったはずだ。まったく…余計なものを作りやがって…)で強制的に決められた。
ルルーシュは最愛の妹、ナナリーをエスコートするつもりだったのに、ふたを開けてみれば、猫かぶり女のカレン・シュタットフェルトだった。
しかも、ナナリーのお相手はスザク。…複雑すぎる。
 
「猫かぶり女が相手なんて…」
 
「その呼び方やめてって言ってるでしょう!?」
 
さっきからちっとも楽しい雰囲気にならない。
カレンは正直言って、ルルーシュがペアだと知ったとき、かなり嬉しかった。
秘かに想いを寄せているだけに、堂々と「ダンスの相手をして!」とはいえないし、そんな柄でもない(病弱設定は、ヤツには使えないし)。
だからカレンは再三ニーナに(心の中で)お礼を言った。
 
だがどうだ、肝心の彼がこんなに自分のことを不満に思っているのだ。楽しいわけがない。
 
「そんなに私のエスコートがイヤなら、大好きな妹のとこでも、アンタを好いてる可愛げのある女の子のとこでも、どこにでも行けばいいじゃない!」
 
そんなことを言ってしまってから、カレンははっと口許を手で覆った。
…しまった。こんなこと言うつもりじゃなかったのに。
こんな、可愛げのないことを、言うつもりでは…
ルルーシュの冷めた視線とぶつかり、思わず背筋を凍らせる。
 
「……言われなくても、すぐにお前の目の前から消えてやるよ」
 
「ちが―そんな意味じゃ―…」
 
ルルーシュの冷たい紫色の瞳が、優しげに細められた。
 
「いいんだよ。俺は君の兄でも、ましてや恋人≠ナもないんだからな。君も、嫌いなヤツとじゃなくて、好きな異性と楽しめばいい」
 
…そう言って、ルルーシュは人ごみの中に去っていった。  
音楽は、アップテンポな曲に変わっていて、ルルーシュの姿はすぐに見えなくなってしまった。
 
カレンはその場に、ただ立ち尽くしていた。
 

 
 
 
 
 

 
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