コードギアス
□ひ と つ ぶ
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「カレン、そのキャンディ…」
「ああ、これ?ふふ、いいでしょ〜。千葉さんから貰ったのよ。今一個舐めてる」
黒の騎士団の、束の間の休息。
カレンとルルーシュはゼロの部屋でのんびりと過ごしていた。
カレンは左手に、大事そうに綺麗な包み紙のキャンディを持っていて、それはルルーシュも好きなメーカーのものだった。
「千葉さん、なかなか手に入らないのに、私に二個もくれたのよ。愛されてるわよね、私!」
「自分で言うか…なぁ、それ、俺にも―…」
「だーめ。せっかく千葉さんが私にってくれたんだもの」
「…カレンって案外とケチなんだな…」
ぼそっとした呟きを、カレンは聞き逃さない。…なんですって!?
「あーあ、残念でした。せっかく今、あげよっかなぁって思ってたのに…これで完璧に私のもの決定ね!」
「ウソつけ!あげる気なんてなかったくせに…」
「あら、わかんないわよぉ?って、やだっやめ…っ」
突然ルルーシュが、背後からカレンをくすぐってきた。
わき腹をコチョコチョと揉んでくる。
もちろん、カレンは大のくすぐったがり屋だ。
「やっ…ぁ、やめっきゃははっルルーシュ、てばっあはははっひぃっ」
「じゃあ渡せ!」
二人とも笑いながら、じゃれ合う。
それは子供のようでもあったけれど、恋人同士にとっては当たり前のスキンシップ。
飴なんかなくても、甘い時間。
「やだっ食べちゃうもんねー…んふふっ」
そう言って、カレンは残りの一個も口に放り込んでしまう。…大事なんじゃなかったのか?カレン。
「ほぉーう。そんなことしたら、どうなるかわかってるな?」
「あるぁ、どほしゅりゅき(あら、どうするき)?」
ルルーシュは左手をカレンのお腹周りに巻きつけて拘束し、右手でその柔らかな頬を包み込むように掴んだ。
カレンの小さな顔が、ギクリと引きつる。…まさかまさかコレは…!?
「んっ…む、ンっ」
…長い長い拘束の後、カレンの口はやっと解放される。
口の中にあったはずの、甘酸っぱいキャンディは、消えてしまった。
…否、消えてはいない。
「ん…やっぱりここのキャンディは美味しい。カレンの唾液入りだし」
「ひっどーい!二個全部とるなんて!!」
「唾液にツッコミ無しか…ずいぶんと淫乱に育ててしまったみたいだな」
「ばか!あんたに育てられた覚えは無いわよっ」
そう言いつつも、カレンはルルーシュの腕の拘束からは逃れようとはしなかった。
むしろ、もぞもぞと体勢を変えて、ルルーシュと向き合う形になって、自らも彼の腰に腕を回す。
「ねぇ、ルルーシュ。私にも…ひとつぶちょうだい…?」
「もらいかたは知ってるだろう?」
「……イジワルなんだから…」
…そんなとこも、好きなんだけど、なんて言ったら、『カレンはマゾなんだな』なんて笑われるのかしら。
カレンはルルーシュの腰に巻いていた腕を、彼の首にゆっくりと絡ませて、キャンディをひとつぶだけ失敬した。
…ていうか、コレあたしのだったんだけど!
-end-
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甘甘!なんか猫のじゃれ合いみたいで、
書いていて楽しかったです。
読了感謝です!
2009.1.2.薔宮