彩雲国物語

□りあっぷ☆争奪戦!?紅一点の一泊二日温泉旅行!
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※注意※この小説は、原作「黄金の約束」時の設定を使っておりますが、燕青と劉輝の関係を変更しております。原作ではこの時点で燕青たちは互いのことを知りませんが、ここでは知っているということになっていますので、あらかじめご了承ください。他にもいろいろ細かく違和感がある場所があると思いますが、皆様の広いお心でお許しくださいませ。by薔宮りさ


紅秀麗が、『紅 秀』と名乗り、侍僮として戸部の手伝いに行くようになってから少し、秀麗はもの凄い痛みを肩と腰に覚えるようになった。

それもそのはず、戸部の黄奇人の人使いの荒さと言ったらなかった。

秀麗も日頃畑仕事で体を動かしているとはいえ、女の体だ。

限度というものがある。

そしてその秀麗の体の異変にいち早く気付いたのは燕青だった。
 
 
 
 
 
 
 
≪りあっぷ☆争奪戦!?紅一点の一泊二日温泉旅行!≫
 
 
 
 
 
 
 
「なぁ、姫さん」


ある日の夜、秀麗の室に燕青が訪ねてきた。

室の戸は開いていたため燕青は入り口から秀麗を呼んだ。


「あら、燕青。どうしたの?眠れないの?まさかあなたも眠れないから二胡弾いてー、とかって言うんじゃないでしょうね」


秀麗はちょうど着替え終わり、さぁ寝ようと寝台に入るところであった。

秀麗が動くたび、長い漆黒の髪が艶やかに揺れる。


「眠れないんじゃないんだけどさ。つか誰にそんなことせがまれたの?」

「え?あぁ、・・・ちょっとした子守をしたときにね。オホホホ」


・・・その『子守』の相手が一国の王だとは、口が裂けてもいえない。

秀麗は必死で平静を装い、話題を変えた。


「それで、何のご用かしら?」

「あー、姫さんさ、体のちょーし悪いだろ?」


それを聞いた秀麗は、明らかにギクリとした。

しかし口では否定する。心配させたくない。


「え?そ、そんなことないわよ。すごく元気よ!」


燕青はピンときた。・・・絶対嘘だ。


「そ?じゃ、ちょっとそのまま寝台にうつ伏せになってみ」

「え?」


秀麗はなんだか嫌な予感がしたが、ここで下手に対抗すると墓穴を掘りそうだったので素直に従った。

もぞもぞと寝台に寝そべる。

すると燕青が室に入り、寝そべる秀麗に近づいてきた。


「ちょっと体、触ってもいい?」

「いいけど・・・なんだかすごく変態くさいわよ、燕青」

「ちょ・・・洒落になんないからソレ」


そんなやりとりをした後、文字通り燕青は秀麗の体のあちこちを触り始めた。

わき腹や太ももなどを触られるたび、秀麗が少し身をよじった。


「や・・・っ!ちょっと燕青、くすぐったいじゃない」


秀麗はくすくすと笑いながら、楽しそうに言う。


「俺姫さんとじゃれるために来たんじゃないんだけどなー。まいっか。俺も楽しいし!」


燕青もにかっと笑って言う。・・・いいのか燕青。

やがて燕青の手は腰で止まり、当てたまま動かなくなった。

かと思うと、秀麗の腰がぐっと押された。


「ぎゃーっ!痛い痛い痛い痛いぃいい!!」

「やーっぱりな。姫さん腰超こってるもん。嘘ついてもお見通し」


少し困ったように笑いながら、燕青は言った。

秀麗は涙目で燕青を睨む。


「痛いじゃない!もう少し優しくやってよぉ」

「あははーわりぃわりぃ。ちと加減がつかめなくてな」


かくして、秀麗の腰イタはあっさりとバレてしまったのだった。
 
 
「姫さん、あとどっか痛いトコない?嘘つかないで言えよ」 
 
「か、肩が・・・もの凄く重いの」 
 
 
秀麗はしぶしぶ白状した。 
 
それを聞いて、燕青が秀麗の肩を擦った。
 
 
「うわースゲーこってる。がちがち」 


秀麗の肩は、岩のように硬かった。


「なんでこんなになるまで言わなかったんだ?ちゃんと言わなきゃだめじゃん」

「心配・・・させたくなかったのよ」

「疲労骨折とかしたらもっと心配させることになるじゃん」

「う、・・・ごめんなさい」


秀麗はばつが悪そうに言った。

ふぅ、とため息を一つ吐いた後、燕青が言った。


「じゃ、温泉にでも行くか!」

「はぁ!?」
 

聞いた秀麗は仰天した。・・・温泉!?


「そんな暇ないわよ!だいたい休みなんてとれな―」

「実はもうとってきました〜」


燕青はニヤっと笑い、ひらひらと何かを秀麗に見せ付けた。


「ほれ、黄尚書の捺印入りの休暇許可証」

 
秀麗は仰天した後絶句した。・・・準備が良すぎだ。


「・・・・・・・・」

「あっさりハンコ押してくれたぜ。二日間のお休みがもらえました〜。てことで温泉行こう!」
 
「・・・ったくしょうがないわね。こうなったら行くわよ。せっかくもらったお休み、もったいないもの」

「よっしゃ。さっすが姫さん、わかってる〜」

「で、まさか二人で行くんじゃないでしょうね」


燕青は少し黙った。そして少し考えるような素振りを見せたあと、口を開いた。


「・・・そうだったら、嫌?」

「え・・・嫌、ではないけど。いろいろまずいというか・・・」


答えに困っている秀麗を見て、少し微笑んだ後。


「大丈夫。静蘭も連れてく・・・っつーかアイツなら絶対についてくるから」


安心しろ、と秀麗の頭をぽんぽんと軽く叩く。


「最近城下で噂の、秘湯がある温泉宿があってな。実は俺も貴陽にいる間に行ってみたくてな。あはは〜」

「何よ。燕青が行きたいだけじゃないのよ」

「あ、バレた?」


バレバレである。


「じゃ、二日後に行こう。一泊してくるから、ゆっくりできるぞ」

「え、宿代払う余裕なんて無い―」

「大丈夫。俺がおごってやる!にしても楽しみだなー。早く癒されてー」


そう言うと、燕青はすくっと立ち上がった。


「邪魔して悪かったな。おやすみ、姫さん」

「・・・お、おやすみなさい」


そして燕青は秀麗の室をあとにしたのだった。

秀麗は寝台に取り残され、数拍停止した。


「・・・ホントにいいのかしら・・・ま、たまにはいいのかしらね・・・」


そう呟いた後、秀麗もまた眠るために寝台に入りなおしたのだった。
 
 
 
  
   
 
 

  
 
 
 
 


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