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□調教【彩雲国物語】
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『お前は今日からひと月、清雅から調教を受けろ。今後の仕事のことを考えてだ。文句を言ったらクビにする』
秀麗は長官である葵皇毅から言われたことの意味が、全くわからなかった。
文句を言うも何も、≪調教≫って…なに?
秀麗がその言葉の意味を知るのは、≪調教≫が始まってからだった。
≪調教≫
命令を告げられた後、秀麗は指定された場所へ向かった。
宮城のかなり外れにあるそこに、一人の先客がいた。
壁にもたれかかり、窺うような目つきでこちらを見ている。
「…やっと来たか。その顔じゃ、何されるかわかってないようだな」
秀麗は訝しげに彼を睨んだ。
「清雅…だって長官、調教ってしか言わなかったんだもの。なに、あんたは知ってるのね?」
「俺がするのに知らないでどうするんだよ。馬鹿か」
清雅は口の片端を吊り上げて嘲笑った。
「うるっっさいわね…さっさとやっちゃいましょ。あんたといると疲れるのよ…ったく」
秀麗はぶつぶつと不満を言った。
「今日は一段と疲れるかもだぜ?」
ぼそっとした声で言う。
「は?なんか言った?」
「いや」
「はぁ…こんなやる気しない仕事初めてだわ…」
清雅は秀麗を一瞥した後、背を向けて歩き出した。
「ついて来い」
これから起こる悪夢のような出来事を、秀麗は全く予想できなかったのであった。