彩雲国物語
□愛しさを示すもの
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「・・・・・・」
だが、劉輝がそう言った途端、秀麗は黙り込んでしまった。
「しゅ・・・秀麗?どうしたのだ?」
「お・・・怒らないで、聞いてね」
「う、うむ」
秀麗はすぅっと息を吸った。
「今日っ清雅にっ・・・く・・・唇を・・・ぅ・・・ば・・・」
そこまで言うと秀麗は真っ赤に頬を染め、再びうつむいてしまった。
劉輝は言われた言葉の意味が、すぐにわからなかった。
清雅が・・・秀麗の・・・唇を・・・?
呼吸3つ分ほどの沈黙のあと、劉輝は理解した。
―あの糞野郎が・・・っ
はぁっ、と切なげなため息をつく劉輝に、秀麗は我慢できなくなり、がばっと抱きついた。
「ごめんなさいっあたしが隙だらけなばっかりに・・・っ」
あああぁぁあ・・・と本気で落ち込んでる秀麗が可愛くて、劉輝はふっと笑った。
それに、隙だらけなのは劉輝にとっても好都合なので、あえて何も言わなかった。
「清雅は・・・今日が初めてなのだろう?だったらこれから気を付ければいいのだ」
「・・・・・・」
何も言わない秀麗の頭を、優しく撫でる。
小さな頭に顔を埋めて、甘い香を愉しむ。
ふいに、秀麗が口を開いた。
「・・・なんで妬かないのよ?嫌じゃないの?」
その言葉に、劉輝はこらえきれなくなったように言い返す。
「・・・っ嫌に決まってるだろう!!」
そしてドサっと秀麗を寝台へ押し倒した。