彩雲国物語

□りあっぷ☆争奪戦!?紅一点の一泊二日温泉旅行!
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翌朝、チュンチュンと小鳥がさえずる声に目覚めさせられ、秀麗は一つ伸びをした。


「ん〜っ。いい朝ね。さて、朝ごはんの支度っと」


そして寝台から降り、着替え、鏡台の前に座る。

ふと鏡をみると、可愛らしいが美人とは言えない、十人並みの顔がこちらを見つめていた。


「寝起きだと、さらに不細工だわね・・・はぁ・・・」


でもこればっかりはどうにもできない。

秀麗はため息を一つ吐いたあと、パチンと頬を叩いた。


「しゃきっとしなきゃ!顔なんて心の善し悪しに関係ないもの!」


小物入れに手を伸ばし、櫛を取り出す。

寝起きにも関わらず、秀麗の髪はさらりと櫛の間をすり抜けていった。

そしていつものように高く結い上げる。

秀麗は髪紐を探し、目線を台の上に彷徨わせた。

最初に目に留まったのは、劉輝からもらった簪だった。

御伽噺のような、一つの夢と現を繋ぐもの。

秀麗は少し瞑目した後、髪紐を見つけ、括りあげた。


「・・・今日も一日、頑張るわよ!」

「温泉も待ってるしな!」


声のする後ろを振り向くと、燕青が戸口に立っていた。


「あら燕青、早いのね」

「今日は行水してきたからな」


言われてみれば、燕青の髪が濡れていた。

思い出したようにたまに雫が髪を伝って落ちる。


「静蘭もやっぱ行くってさ、温泉。楽しみだなっ」

「ふふ、そうね。今日一日頑張って、明日と明後日はゆっくりしましょうね」

「おう!」


燕青はにかっと太陽のように笑った。


「じゃあ、朝ごはんできるまで少し待っててね。少し経ったら父様も起きてくると思うから」

「あいよ」


ひらひらと手を振り、燕青は秀麗の室を後にした。

そしてまた秀麗も後を追うように朝餉作りへと向かったのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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