*under*

□調教【彩雲国物語】
2ページ/9ページ

「うわぁ…なにこれ」
 
秀麗は連れてこられた場所にある、隠し扉の中に唖然とした。
 
「見ればわかるだろ」

「いや、わかるけど…まるで後宮ね」
 
そう、古びた倉庫の棚の裏の扉を開けると、そこには別世界のように煌びやかな室が広がっていた。
こんなところに隠し扉があるとは…秀麗は茶家の邸を思い出した。
 
「んで、ここでなにするの?」
 
秀麗が訊くと、清雅は珍しく返答に遅れた。
 
「…とりあえず入れ」
 
秀麗は訝しみながらも、中へ入っていった。
かなりな広さのそこは、寝台や、その他の家具が置いてあった。
後宮と比べればそれほど豪華ではないが、間違いなく秀麗の室よりは豪華だ。
 
「ここって、何に使うの?」
 
きょろきょろしながら問う。 

「御史台のいろんな用事だ。女官から情報を聞き出すときとかが主だな」
 
それを聞いた秀麗が、微かに表情を変えた。 
後ろで、清雅が扉に鍵をかける音が聞こえる。

「…なんで、そんなところに私を連れてきたの?」
 
女官から聞き出すとなれば、情事をして吐かせるのが普通だ。
秀麗は段々ことの状況がわかってきた気がした。
絶対にそうであって欲しくないけれど、清雅の双眸の鈍い光が、淡い希望を掻き消す。
 
「調教、って言っただろ?…これからは女官以外…野郎からも聞きだせるようになったほうが、便利だからな」
 
「何するつも―…!!」
 
清雅は秀麗に手刀を叩き込み、気を失わせた。
うつ伏せに倒れこむ秀麗の腹の下に腕を滑り込ませ、片腕で支える。
そして抱きかかえて寝台の上まで運び、慣れた手つきで官服を脱がせ始めた。
仕上げとばかりに秀麗の両手首を帯紐で縛り、自由を奪う。
薄地の肌衣一枚だけを身につけ、寝台に横たわる秀麗の髪を一房掬いあげ、口付ける。
 

「…楽しませろよ…」
 

清雅は妖艶に口の端を吊り上げたのだった。

 
 
 
 
  
 
 
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ