★過去のお礼小説〜★
□〜“現代版伯妖”〜{ミニ小説}
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現代版伯妖(ミニ小説)
{真夏の海は恋の予感?パート2}
ロタは慌ててポールを追いかける。
「ポール、待てよー!」
やっと追いついて、ポールの腕を思いっきりつかんで引っ張ったため、彼はバランスを崩してロタの方へ倒れ込む。
気がつくとポールは、胸の谷間の見える花柄模様の水着に顔を埋めていた。
ロタの頭の中から、周りの音がしばらく消えた。
照りつける太陽で、顔が熱いのか?
それとも、今のこの状況のせいなのか?
ポールの頭に手を触れてみようかと思ったのに……。
「ごっ……、ごめん!」
ポールは慌ててロタから離れた。
そんなに慌てて離れなくてもいいのに……。
今日はこの日のために朝早くからリディアと2人で、髪型やメイクの専門雑誌を見ながら、四苦八苦をしてなんとか仕上げたのだ。
2人ともおしゃれにはあまり縁がないから、かなり時間はかかったが、なかなかの出来ばえだとは、思う。
いつもとは違う自分に、気付いてくれないかな……。
「あの……さ、ロタ」
「えっ、なっ……何」
やった、気付いてくれた!と思ったが。
「喉、渇かない?」
「あ……うん、そうだね」
「ここで待ってて、買ってくるから」
ポールの後ろ姿を見て、ため息をつく。
ヘアーアイロンで内巻きにした髪や、化粧が無駄になった。
エドガーみたいに口説き文句を言い過ぎも嫌だが、何も言わないのもがっかりだ。
砂浜の上に座った時、目の前に影ができる。
ぱっと顔を上げると、髪はオレンジに染められていて、サングラスをかけた男が立っていた。
「1人じゃないよ」
その場から立ち上がって向こうへ行こうとすると、腕をつかまれた。
「冷たい女の子、おれ好み」
あたしはオレンジ男は、好みじゃないけどね、と心の中で呟いた。
すると飲み物を両手に持ったポールが帰って来た。
「ロタごめん、遅くなって」
「ポール、こいつしつこいんだよ」
ロタは男の腕を振り切って、ポールに甘えるように腕にしがみつく。
「ちっ!彼氏いるなら、はじめっから言えよ」
あんがいあっさりと、引き下がって向こうへ行く。
「ありがとう、ポール」
「僕は何もしてないけど、よかったね」
さっきの男も、ロタを奪うぐらいの勢いがあればポールの活躍がみれたかもしれないが、喧嘩になったら彼が勝つとは限らないからまあ、これでよかったかもしれない。
「でも今日のきみを見れば、ナンパしたくなるのも分かる気がするよ」
「えっ……、本当?いつもとどこが違う」
ロタは期待をポールに向ける。
「そうだ……な、あんがいロタって胸が大きいということが、分かったよ」
「……ありがとう」
それって、誉め言葉だろうか……。
今日ポールに告白する勢いで海に来たロタだったが、やっぱりやめることにした。