★小説〜伯妖現代版〜★
□2〜彼の忘れたい過去の一部(前編)〜
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「リディア•カールトン、転校早々遅刻とは、いい度胸をしているね」
「……すみません、校長」
なんとかここまでたどり着くことができたのはいいが、1時間も遅刻をしてしまいリディアは転校初日から悪いことだらけだ。
これも全部、あの男のせいよ!
おまけに書類もなくすなんて……。
あいつが持っていったのに、決まっているわ!
「転校初日から、たるんでるぞ!」
あ……あ、もう……、全部、あいつが悪い!
リディアが黙って説教を聞いていると、
「説教はいい加減、終わりにしたらどうですか?校長」
「あー!書類」
リディアは書類を片手に持って入ってきた彼に、指をさす。
「リディア•カールトン!」
リディアは校長に怒られ、すみませんと、また謝る。
「校長室に何の用かな?エドガー、授業はとっくに始まっているから、教室に戻りなさい」
そのままエドガーは校長の目の前まで行き、書類を突き出す。
「もう用は済んだから、これで退散しますよ。じゃあまた後でね、リディア•カールトン」
リディアに不適な笑みを浮かべ、ウインクをして出て行く。
なっ……何?あの意味ありげな笑みは!
書類は手元に無事に戻ったため、この後リディアは、書類については怒られることはなかった。