★小説〜伯妖連載〜★

□このままずっと……
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「ああ……あ。しばらくはレイヴンもいないことだし、暇だな」

ふああと大きな口を開いてあくびをする、リディアの相棒の妖精猫ニコが、ソファで寝転がっていた。

「ニコはいいわね」

呑気に毛並みを整えているニコをため息混じりで見る。
リディアは急ぎの仕事がはいったため、朝食を食べ終えてからずっと、仕事部屋に閉じこもっている。
少し前に侍女のケリーが片手でもつまめるようにと、サンドイッチを持って来てくれたので、お腹の空腹だけは避けることはできた。

「じゃあ俺はケリーのところでも行ってこようかな」

ソファから猫らしくピョンと着地したかとおもえば、2本足でトコトコとドアに向かって歩き出した。
いつものそんな日常的な光景を目にしたリディアは、再びペンを取り、妖精のトラブルの解決策を便箋に書き始めた。

「奥様、少しよろしいですか」

ドアのノックの音とともにケリーの声が聞こえきたので、中へ入るように返事をした。

「お忙しいところすみません。グレルリン公爵夫人が訪ねて来られまして、どうしてもリディア奥様に会いたいと申してまして……。いかが致しましょうか?」

今日公爵夫人と会う約束はしてはいない。
だが彼女は政治家と知り合いが多く、エドガーも色々とお世話になっている。
しかしリディアはグレルリン公爵夫人は苦手だった。
でも機嫌を損ねることだけは避けなければならない。

「わかったわ。応接間にお通しして」
「かしこまりました」

リディアは小さなため息をもらした。
そんなリディアの様子を見たケリーは、少し不安そうな表情を浮かべながらも仕事部屋から出て行った。
自分でも気付かないうちに表情に出ていたんだ。
しっかりしなくては。
ケリーに心配をかけさせたことに申し訳がない気持ちになり、リディアは気を引きしめた。
仕事はまだ半分も終わってはいないが、そんなに長居はしないだろう。
公爵夫人が帰ってからすぐに取りかかれば大丈夫。
リディアは机に散らかった本やペンを片付けて、公爵夫人が待つ応接間へと向かった。



                    
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