★小説〜伯妖現代版〜★

□12〜彼との初めてのキスはせつなく悲しくて〜
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あと、15分で終わり……か。
いよいよパーティーも、フィナーレを迎えようとしていた。
ダンスも残り1曲となってしまった。
結局実行委員のリディアは、1曲も踊れないままで終わってしまいそうだ。
会場内をちらっと、見る。
あっ、また違う女の子と踊っている。
目だけはエドガーを追ってしまう。
さっきから彼はとっかえひっかえと、目まぐるしい速さでパートナーがチェンジされていく。
そんなエドガーを見て、ため息をつきたいところだが。

「リディア、ちょっとこっち手伝って」
「あっ……うん。これ終わってからね」
「リディア悪いけど、次こっちもね」
「はあ……い」

これじゃあダンスどころか、ゆっくりと座る暇さえない。
そうこうしているうちに最後のダンスも終わった。
会場のあちらこちらから、クラッカーの鳴る音が耳に響く。

「あ……あ、終わっちゃった」

この学校に来て、初めてのパーティーがこんな形で終わるなんて。
せめて1曲だけでも踊りたかったな。
エドガーと。
あんなに賑やかだった会場が一瞬のうちに、静かになった。
もうこの建物に残っているのはおそらく、実行委員ぐらいだろう。

「さてと、掃除に行きますか」

リディアはほうきと塵取りを手に取り、会場内を掃除をし始めた。



                      
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