★小説〜伯妖現代版〜★

□13〜あなたが好き〜
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この体が彼女を求めている。
認めたくはないが、リディアが欲しい。
その想いは日に日に増していく。
頭から熱いシャワーを流し続けても、この想いは消えない。
そういえば今まで自分はよく、リディアにキスもしないで我慢できたな。
まあそれも限界でやってしまったが。
女の子と2人っきりになったら、何もなかったことがない方が少ない。
ロタは別として。
リディアみたいな可愛い女の子なら、すぐに手を出してもおかしくはないはず。
そういえば女の子と、ベッドの中で過ごす快楽が楽しめなくなってきた。

「これって……重症かな?」
「エドガー様、どこか具合でも?」

エドガーのそのひと言に、レイヴンが慌ててやって来た。
そしてエドガーの、頭から足の先まで見るとうーんと、うなっている。

「大丈夫。心の病気だから」

その説明で納得してくれたかどうかわからないが。

「医者は必要はありませんよね」
「まあ……そうだね」
「わかりました」

そして彼は濡れた髪をドライヤーで乾かしはじめた。
あれっ?
いつのまにシャワールームから出てきたんだろう。
ずっと考え事をしていたせいか。
気がつけば、ロッカー室にいたという感じだった。
髪から落ちる水滴が、エドガーの引き締まった胸板に流れていく。
この体は今まで、何人の女性を抱いてきたのか。
エドガー自身もはっきりと覚えていない。
服を着替えおえたエドガーは、次にドライヤーで髪を乾かす。

「ねえレイヴン。あとでゲームしないか」

先に髪を乾かしおえた彼は、少し考え込んで口を開いた。

「……もう、たまっているレポートはありませんよね」

どうやらレイヴンは、エドガーがまだ、ほかにもレポートを提出しないでためていると思っているらしい。

「もう全部片付いたから大丈夫だよ」
「では、信用します」

信用って……。
それだけ言うとしゃがみこんで、レイヴンはティッシュを使って髪の毛を拾いはじめた。
あいかわらず几帳面だな。
そんなレイヴンの姿を微笑ましく見ながら、髪にブラシをいれた。



                      
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