★小説〜伯妖現代版〜★
□2〜彼の忘れたい過去の一部(前編)〜
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ランチタイムの時間になり、リディアは中庭へと向かうが、転校初日のリディアには友達がいないので、別の場所へと行こうとした時、
「はーいリディア、よかったら一緒に食べない?」
後ろを振り返ると、さっき数学の授業で一緒だったルシンダだ。
「え、ええ……ありがとう」
リディアはルシンダと一緒にベンチに座り、一緒にランチをした。
リディアはサンドイッチを食べながらちらっとルシンダの方を見る。
さらりとした黒髪に、色白の彼女は鉄錆色の髪のリディアなんか、引き立て役にもならないだろう。
「ねえ、リディア。来週の金曜日の夜よかったら私の部屋へ遊びに来ない?あなたともっと色々と話しがしたいわ」
転校初日でこんなにも親しくしてもらえたのがリディアには嬉しかったので返事はもちろん、イエスと、答えた。
でも、さっきからみんな、かわいそうにと呟いているのが聞こえたが、たぶんルシンダとリディアの容姿を見比べて言っているのだろう。
そんなのは昔っからもう慣れっこだ。
「あの娘かわいそうに……、ルシンダの罠にかかったわよ」
この会話までリディアの耳には、届いていなかった。