★小説〜伯妖現代版〜★
□2〜彼の忘れたい過去の一部(前編)〜
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昼からの授業も終わり教室から出ると、
「リディア!」
今朝の校長室で書類を届けてくれた男が、嬉しそうな笑顔を浮かべてこちらにやって来る。
「何か用?エドガー」
リディアは素っ気なく答える。
「あれっ?僕の名前、知ってるの?」
「校長があなたの名前呼んでたもの」
「ふうん、覚えててくれてたんだ」
彼の灰紫の瞳に見とれてしまったリディアは、手を繋がれたことに気づき我に返る。
「ちょっ……ちょっと!」
手を引っ込めようとしたが、
「学校案内してあげるよ」
なかば強引に連れて行かれた。