★小説〜伯妖現代版〜★

□3〜彼の忘れたい過去の一部(後編)〜
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リディア達親子が招待されたパーティーは、ホテルのワンフロアー貸し切りで行われていた。
リディアと父はホテルへ着いた早々、別室で着替えて父だけ先に準備が出来たので、社長に挨拶したいからと言って、パーティー会場へと先に行ってしまった。
リディアの方は先程から髪やメイクに、時間をかけてやってもらっている。
さすがのリディアも自分が主役ではないのに、ここまで時間をかけてしてもらうのは申し訳なく思ったので、思いきって口を開く。

「あの……、そんなに丁寧にしていただかなくても、いいですよ」
「社長のご命令ですから、気になさらないで下さい。後、もう少しで終わりますから」

せっかくの社長の好意に応えないと悪い気がしたので、ここは素直に受け入れることにした。
それにさっきから変わっていく自分を鏡で見ているのは、不思議な感じだ。
まともに髪をいじったり、本格的に化粧などしたことがなかったリディアは、鏡に映っている人は本当に自分かと、疑ってしまう。

「これで出来上がりですよ。後はこれを首につけましたら会場の方へ行けますから」
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